先日、「再臨界か」という記事を書いたのですが、その後、東電が13日3時頃に、問題の温度計を一旦停止、再び計測した所、異常な値が出てきたということでした。
圧力容器内部温度計(2012.2.6〜2012.2.13 17:00)
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/images/2u_temp2.pdf
13日の圧力容器の温度計(午後3時頃に数値が異常な値を示していることが分かる)
保安院会見(2012年2月13日 午後5時:温度センサーについては58分目から33分間)
http://www.ustream.tv/recorded/20420775
どうやら温度計の故障だったようです。問題の原因は不明、恐らくはケーブルに問題がある可能性があるとのことです。もし、計測器が正常だとして、285度(午後3:00)という高温の状態であれば、水蒸気が発生し周囲の汚染レベルが上がるだろうし、発生した高温の蒸気によって周辺の温度計の数値も上がるはず。それが上がらないという事は、センサー機器の故障と考えるのが妥当です。特に再計測した際に温度が一気に異常な数値に上昇しているところから見て、計測器の故障である可能性が濃厚になりました。
NHK:2号機温度上昇 温度計故障か
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120213/t10015991021000.html
しかし、東電が嘘をつく可能性も考慮にいれて、周辺の放射線モニタの数値を確認したのですが、大きな数値の変化が出ていない事が確認できましたので、どうやら、2号機から放射性物質は出ておらず、温度センサの故障と考えられます。ですので、先日は誤報を流してしまい申し訳ありませんでした。この場をもっておわびいたします。
福島県周辺の空間線量
http://www.r-monitor.jp/
福島第一原発から10km県内にある石熊公民館の数値
12日 23:00 12.948μsv
13日 23:00 13.011μsv
この温度計の問題について考えるに、原子炉内部のセンサーの故障、あるいは経年劣化で管理が十分にできない可能性がある事が浮き彫りになり、別の意味で問題があるということがわかりました。2号機は基本的に爆発なども起きておらず、建物としては原型をとどめているのですが、その2号機内部のセンサーが正常動作しないという点から言って、福島第一原発のもつ別の脆弱性が浮き彫りになった感があります。
センサーが故障すれば、原子炉に近づけない以上、内部の温度状況のわからない中での冷却となり、気が付かない内に再臨界という事態も招きかねない。また、再臨界を起こせば、1号機のように密閉していない2号機は水蒸気がダダ漏れになり、周辺を放射能汚染する事になります。早急に周囲を密閉する工事を行うべきだと思います。その際には、万が一再臨界してもすぐに冷却できるように天井にスプリンクラーのようなものと、可視光カメラ(+照明)と赤外線カメラを用意し、熱源がどこにあるか把握できるようにし、見つけた熱源に集中的に水を当てられるようなものにするべきだと思います。
今回は、冷温停止状態が継続できているとのことでしたが、だからといって、最近の巨大地震に対して、耐震性が低い大飯原発を再稼働して良いという事にはなりません。なぜなら、原発の耐震性という根本的な問題が何も解決してないからです。この問題を解決する唯一の手段は、日本にあるすべての原発を停止し、燃料を抜き取ってより安全な施設で保管することです。高温で無数の配管のある稼働中の原発を緊急停止するよりも低温で密閉された環境で核燃料を保管したほうが、はるかに安全に管理できます。
原発の耐震性能と、最近の地震の揺れ(ガル:この場合、揺れの加速度を示す単位)
- 福島第一原発 : 600ガル(設計基準:実際には460ガルで壊れた)
- ストレステスト : 700ガル(近年の地震に対し、あまりにも過小な基準)
- 阪神大震災 : 818ガル(1995年)
- 大飯原発 :1260ガル(3〜4号機 耐震性能)
- 新潟県中越地震 :2516ガル(2004年)
- 東日本大震災 :2933ガル(2011年)
- 岩手・宮城内陸地震:4022ガル(2008年:観測史上最高/世界最大)
上記の数値を見れば分かる通り、大飯原発の耐震性能を上回る地震がこの8年間で3回も起きていることが分かります。つまり、大飯原発の耐震性を上回る地震がおこりうるということです。しかも、平均して2.7年に1回です。これは、10年間で約4回の頻度でメルトダウンする可能性があるということです。もし、大飯原発がメルトダウンを起こして、周囲に放射性物質をまき散らせば、地理的状況から言って、福島第一原発の比ではない被害が予想されます。(福島第一原発の放射性物質はその9割が海に落ちたと言われています。ですが、大飯原発はおそらく9割以上が地上に降り注ぎます。しかも、その想定汚染地域には日本の主要工業地域や人口密集地域が含まれており、極めて甚大な被害になることが予想されます)ですので、大飯原発再稼働は絶対に許してはいけません、今活動記にある日本の地震活動は、2.7年に1回の割合で大飯原発の耐震性を上回る地震が起きています。この状況で原発を再稼働するというのは正気の沙汰ではありません。大飯原発再稼働には、絶対に許してはいけません。
再稼働が検討されている大飯原発がメルトダウンした場合...(風下に数千万人がいます...)
- 福島第一原発の放射性物質の流出シミュレーション
- 福島第一原発の放射性物質の大半が海に落下している様子がわかると思います。しかし、大飯原発を再稼働して、もしその耐震性を上回る地震が起きてメルトダウンしてしまったら、コレが地上に降り注ぐのです。