GoogleがWebPを改良した。マイナーな改良と言えるが、この改良項目からGoogleの目指している方向性が見えてくる。Googleは、WebPをウェブ標準フォーマットにすることを当面の目標とし、FirefoxのWebPに対する懸念事項を一つ一つ潰してきている。そして、ひとつの画像フォーマットで、すべての画像データのニーズを満たすことを目標としている傾向が、今回の改良から見えてくる。
グーグル、画像フォーマット「WebP」を改良--可逆圧縮とアルファチャンネルに対応
http://japan.cnet.com/news/service/35010971/
10月に発表されたWebPの新しい仕様
資料：http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1111/21/news020.html）
・アニメーション
・ICCプロファイル
・XMPメタデータ（EXIF対応）
・非可逆圧縮もサポート（PNGより28〜45％コンパクトに）
この改良項目を見ると、Googleとしては、FireFoxに拒否された理由の中からWebPに対応しやすいものを入れてきた印象がある。恐らく、対応しにくいものは、WebP 2.0とかのメジャーバージョンアップで対応するのだろう。
FireFoxがWebPを採用しない理由（◯：改善された箇所、×：改善されていない箇所）
×1.GoogleはJPEGを再圧縮する方法でWebPを生成している。GoogleがWebPの実際の利用シーンの中でこの作業を想定しているとしても、そうしたやり方には違和感を覚える。
×2.Googleは画像の評価にPSNRを使っているが、これは貧弱な判断方法であり、適切なものとはいえない。
×3.WebPは4:2:0 YCrCbのみをサポートしており、JPEGがサポートしている4:4:4もCMYKもサポートしていない。
◯4.EXIFデータに対応していない。
◯5.CCカラープロファイルに対応していない。
◯6.アルファチャンネルに対応していない。
△7.歴史的に見て新しい画像フォーマットの普及には長い時間がかかる。
FireFoxが求めているのは（今回の改良から、残った懸念項目）
1.WebPの画質向上（WebPのメジャーバージョンアップが必要）
2.圧縮していないオリジナルファイルからのダイレクト圧縮
3.カラー4:4:4とCMYKのサポート
つまり、圧縮プロセスのダイレクト化と、画質の向上、カラーモードの追加である。これらの要素が満たされると、FireFoxが懸念している項目のすべてが解消され、サポートされる可能性が高まる。そうなると、SafariとIE以外のブラウザが採用している状況が生まれる可能性がある。そこでブラウザシェアを見てみる。
2011年10月の世界のブラウザシェアによると...
資料：http://www.chrome-life.com/chrome/3382/
Exproler 38.89％
Chrome 26.22％
Firefox 26.16％
Opera 1.85％
Other 0.74％
現在、WebPをサポートしているブラウザは、Chrome、Operaであるので、シェア28.07％だが、これにFirefoxが加わると、54.23％となる。つまり、過半数に達するわけだ。ウェブが生まれて以来、JPEGとGIFがメインの画像フォーマットであったわけだが、Firefoxの懸念事項をWebPがクリアできれば、JPEGとGIFがWebPに統合される可能性が出てくる。特にGIFは、仕様的にも古く、256色しか使えないなど不便だ。Chromeがさらにブラウザシェアを伸し、WebPがバージョンアップして、Firefoxの懸念事項をクリアするタイミングが画像フォーマットの世代交代の時期になるような予感がする。
自分としては、PSDファイルにあるようなレイヤーをサポートして欲しい。あと、PDFのようにドキュメントを束ねる仕様もあるといい。それと色深度を従来の8bit（256階調）から12bit（4096階調）に拡張したモードも欲しい。これがあると、デジカメのRAWデータも直接扱えるようになる。あとは、レイヤーにSVGデータを加えられるようにしてくれれば申し分ない。後はGoogleDocumentの中のプルダウンメニューにPaintという項目がついていて、無料で使えるようになってくれれば、それでいい。これでAdobeの高いソフトをひとつも使わずに済む（笑）
