1.TPPのコンセプトはもう古い、もはや日本に貿易立国は不可能
- TPPがないと、日本はダメになると言っている人たちがいますが、基本的にそのようにはなりません。なぜかというと
- 追記 :2011.10.14
- 動画:中野剛志先生のよくわかるTPP
これは貿易立国という古いコンセプトに基づいた発想であり、以上の動画から、TPPに参加することで日本が輸出を拡大することはできません。なぜなら、関税撤廃よりも遙かに大きなドル安政策があるからです。つまり、TPPに参加しようがしまいが、関税よりも遙かにインパクトの高いドル安によって、もはやアメリカに日本は輸出を拡大することはできないのです。むしろ、農業関税を撤廃されることで、アメリカの農業生産物を買わされることになり、貿易赤字になる懸念があります。また、食料の生産能力を他国に支配されてしまうことは、軍事的に守っていもらうよりも遙かに政治的に弱体化することになります。つまり、日本はアメリカの隷属国家に成り下がることになります。
- つまり、将来的に日本はアメリカを輸出対象国とするよりも、中国やインドなど新興国に眼を向けるべきなのです。ただし、中国も元安政策を推し進めるでしょうから、長期的には、環境自立国家を目指すことが日本の生きる道だと言えます。環境自立国家を目指すと、同時にオールドエコノミーは、完全になくなるか大幅に縮小します。ついでに放射能も二酸化炭素も国民にムチを打つ無理な国際競争もなくなります。
2.TPP参加とは、アメリカローマ帝国の属国になるかどうかということ
- TPPを一言で言えば、経済や産業に関わるあらゆる法体系や基準をTPP域内で統一するというものです。その結果、国内の厳しい農業基準が緩くなったり、医療がアメリカと同じように自由診療が増えて、公的医療保険が適用される範囲が狭くなり、医療費が実質的に値上がりするという懸念があります。自由貿易といえば、素晴らしいと思うかもしれませんが、経済の統合は、実質的に国家の統合に近いものがあります。つまり、TPP参加とは、アメリカというローマ帝国の属国になるかどうかという事なのです。そういうことですので、野田政権も、正確な情報を国民に知らせるという手順が必要だと言っているわけですね。
3.経済界が望むのは、派遣労働者を超えるさらなる安い労働力
- ではなぜ、そんな制度を経済界が率先してやりたいのかというと、関税撤廃もさることながら、TPP域内の人材の自由な流動化により、安い外国人労働者が雇えることだと思うのです。つまり、日本に外国人が沢山入ってくるわけですね。そうして他の国と同じように本国の人間の雇用問題が生じるおそれがあるわけです。ドイツなんかも、外国人労働者問題で、よくデモをしていますね。ああいう事が日本でも起きるようになるわけです。どこの国でも外国人が増えると、問題が生じるのです。それはなぜかというと、外国人労働者という新たな階級を作ってしまうからです。要するに派遣労働で若者を安い賃金でこき使うのにあきたらず、外国からもっと安い労働者を雇うという発想なのです。そういう意味では、正社員が一級社員だとすると、派遣社員が二級社員、外国人労働者が三級社員と、三階級になるわけですね。失業者が溢れているのですから労働者は不足していないわけです。そして、これからIT化やアメリカや中国のドル安、元安政策によって無くなる仕事から考えれば、なおのこと労働者を外国から仕入れる必要はないわけです。ですので、TPPに加入せず、部分的FTAに止め、国内で資源、食料、エネルギーを自給できる状況を作り、その反面、仕事がなくなった分は休みを増やして、資本を公平に分配して、休みが多くて安定した暮らしを手に入れる方が国民にとって幸せです。日本はそれが実現できる世界最高の技術を持っています
4.農業は補助金を2兆円ほど積めば、なんとか主食は守れる
- TPP参加によって農業がだめになるかというと、2兆円くらいの補助金を積めば、主食の米と小麦(飼料米で代替)の供給力は守れます。(2兆円あれば、補助金で同価格帯にできますし、そもそも稲のような水を多用する作物は、TPPに加入しているアメリカやオーストラリアなどは、水問題が深刻化しているので輸出できる米の量は限られています)しかし、もしTPPのルールで補助金を出してはいけないということになれば、日本の農業は壊滅します。各国とも農業に補助金を出していますので、そういうことにはならないと思いますが、要するにTPPに参加をしても、国内農業を守るために補助金が必要だということです。どこの国でも食料自給率が40%なんて低い国はめったにありません。国民が飢えないように70%以上にするのが普通でしょう。また、食品の安全基準がアメリカ並みに緩くなりますので、日本独自の厳しい基準が通らなくなります。それによって、食品の安全品質が落ちることが懸念されています。
5.TPP参加のよる医療問題
- 要するにTPPとは経済のアメリカ化という流れなので、アメリカの医療制度の悪しき状況が日本に輸入される懸念があるわけです。自由診療の拡大に伴う公的医療の縮小が懸念されています。歯の治療で保険がおりない治療は、ものすごく高額な医療費がかかりますよね。ああいう医療が増えることは、結果として医療費の高騰を招く恐れがあります。お金持ちは高品質な医療が受けられるかもしれませんが、お金のない人には非常に厳しい医療環境になることが懸念されているわけです。そういう自由診療に対応した民間の医療保険会社がジャパンマネーを狙っててぐすねひいていると思われます。アメリカのように高額な医療保険を払えないと、まともな医療が受けられない状態になることはないかもしれませんが、医療費が高騰する恐れがあります。
6.国内の産業障壁が撤廃される
- 例えば、今でも大型施設などは、外国企業の参入が自由化されているのですが、TPPに参加すると小規模な施設に対しても入札ができるようになるそうです。これは国内の競争力のない内需産業を競争激化によって鍛え直すという点では効用があると思います。
7.じゃぁTPPなしでどうするか?
- 貿易立国というコンセプトを捨てれば、日本が生き残る道が見えてきます。TPPは、各方面でアメリカ化が促進されます。その結果、アメリカのいいところも、悪いところも輸入されます。日本としては、アメリカの悪いところを入れないで、いいところだけを得たいところですが、TPPは、通商に関わるすべてのルールを統一することを目指していますから、そうも行きません。でも、関税が撤廃されなかったら日本の輸出産業はどうするのか、外貨がなくなったら、日本はエネルギーも食料も供給できなくなるのではないかと思うかもしれません。でも、その心配はありません。というよりも、関税よりも円高のほうが遙かに日本経済にインパクトがあり、アメリカがドル安政策を続ける限り、貿易立国という考え方自体、もはや日本が生き残るのには、ダメな論理です。ではどうするかというと、技術革新でそれをクリアできる道がひらけつつあります。要するに、短期的には現状のまま、中期的には高くても売れる省エネ家電や高性能な自然エネルギー設備を輸出、長期的には外貨の必要のない社会を作り出せばいいのです。日本が必要としているのは主に原材料です。それさえ自給できれば、あとは問題ないのです。そこで食料、資源、エネルギーに分かれて、自給戦略を次の項目で説明したいと思います。
8.環境自立国家:日本
- 1.食料の自給
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- 2004年→2030年の想定需要(人口が5.5%減少すると想定)
- ・とうもろこし:1200万トン → 1134万トン(藻で自給)
- ・米 : 900万トン → 851万トン(米851万トン自給)
- ・小麦 : 536万トン → 507万トン(飼料米507万トンで自給)
- ・大豆 : 423万トン → 400万トン(大豆370万トン自給)
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- これらの農地をフルに活用すれば、穀物(米、小麦)、飼料用作物を100%自給、大豆などを92%以上自給することが可能です。品種改良によって10%収量が上げられれば、100%も可能でしょう。これによって日本の食料は大丈夫です。また、飼料を食べた牛の糞などは、バイオ石油などの資源になります。
- 2.資源の自給
- 鉄 :国内需要:3400万トン → スクラップ鉄3400万トンで自給可能
- プラスチック:国内需要:1600万トン → バイオ石油で自給可能
- ガラス :結晶化率の高いポリマー(NOC)でガラスを代替
- セメント :ジオポリマーで自給:生成に石炭の熱を使用しない
- 3.エネルギーの自給
- 電気の自給は、工業生産量が内需のみになるので、規模が1/3となり、都市は電子化により、その需要は半減、LEDやインバーター制御のモーターによる大幅な節電これらの節電想定規模を以下に記す。
- 2009年電気需要:9550億kwh
- 節電
- 工業 :-1600億kwh(工業需要は軒並み1/3になるが、電炉鉄は現状のまま)
- LED :-780億kwh(200lw/wの照明がすべての照明に置き換わる)
- モーター:-800億kwh(インバーター制御によって半減)
- エアコン:-899億kwh(都市のエアコン半減+断熱ガラスの普及:-30%)
- 冷蔵庫 :-170億kwh(年間消費電力300kwh以下の冷蔵庫が全世帯に普及)
- テレビ :-116億kwh(年間消費電力80kwh以下のテレビが全世帯に普及)
- クラウド:-700億kwh(都市に関わるあらゆる電力が半減)
- 人口減少:-500億kwh(2030年:人口5.5%減少)
- 液体電池:+1500億kwh(漁船や農業機械の電動化:A重油の代替)
- 資料:液体電池
- 省エネ規模:4065億kwh
- 総需要 :5485億kwh
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- 需要(97%自給)
- ナフサ :160億リットル
- ジェット燃料:32億リットル
- C重油一般 :53億リットル
- LPガス :60億リットル
- 合計 :305億リットル
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- 供給
- バイオ重油:219億リットル(オーランチオキトリウム)
- バイオ軽油:78億リットル(ボツリオコッカス)
- 合計 :297億リットル