アメリカの公的債務上限引き上げについて、来年の大統領選挙をにらみ、民主党と共和党がチキンレースをしている。おそらく、このチキンレースは、8月2日の期限までに決着がつくものと考えられる。両党とも、最終的には債務不履行は避けるだろう。日本の議論と違うのは、十分な規模の歳出削減が提案されているということ、日本のように役人がどうのこうのという話にならないのが、アメリカの政治主導の議論、そこで、単に日本は官僚主導でダメだという論調ではなく、アメリカと日本の何が違うのかという点で考えてみる。
1.アメリカと日本では、政治家と官僚の権力の安定性が違う
- 1.官僚の大規模な人事異動があるアメリカ、それがない日本
- 2.頻繁に選挙があり、政権がコロコロ変わる日本、4年しっかりあるアメリカ
- 日本は、総理大臣に解散権があり、頻繁に選挙が行われる。アメリカは下院が4年、上院が6年固定である。
- 政治家の地位の安定化こそ、政治主導の肝
- この1と2を組み合わせると、日本の政治が官僚主導なのは、権力が不安定な政治家と地位が安定している官僚との相対的な力関係によるものだとわかる。そこで、政治家の地位を安定化し、官僚の地位を不安定化することで、官僚主導から、政治主導に切り替える。そのためには、総理大臣の解散権をなくし、そのかわり、大統領制に移行し、拒否権が発動できるようにする。そして、政治家の任期を固定する。そのかわり、国民投票法を作り、政治家を入れ替えなくても、国民的な意思決定を可能とする。また、政治家が管理できる官僚の人事権を大幅に拡張し、アメリカのように大規模な人事異動を可能にする。政治主導がきちんとできているアメリカの政治システムのいいところをコピーするべき。
- 1.政治家の官僚に対する人事権の大幅な拡張
- 2.大統領制に移行(解散権はなくすが拒否権がある)
- 3.国民投票法の制定(解散することなく国民の意思を確認できる)
- 4.政治家の任期を固定化
- これによって、選挙に気を取られてばかりで頭が空っぽの日本の政治家を減らす。国民の代表である政治家の権力を大幅に拡大し、官僚が権力を持つことを防ぐ。
2.情報弱者の日本の政治家、情報強者のアメリカの政治家
- アメリカの政治の強さは、情報の入り口に多様性があり、しかも、それが統合され、その統合された情報に分析チームが一体となっていることである。海外の情報はCIAが統括しているが、日本の外務省と違うのは、全体を統括する大規模な情報収集、および、分析チームをそろえていること。日本は、それがない。ただ、外務省職員が現地の情報を伝えるのみで分析チームは外務省の中にあるが、国の全情報を統括した情報分析チームとなると内閣直属の中央情報局が必要になる。日本の場合、それが縦割り行政で分断されていて、政治家が行う全体のグランドデザインをサポートする組織が全くないのが問題だ。その上、政治家をサポートする人員もアメリカでは議員一人当たり36人認めらているのに対し、日本の場合、わずか3人これでは、情報の収集分析を行う人員と多様性がなさすぎて、小規模過ぎる上にバランスが悪い。つまり、弱すぎてアンバランスという非常に弱い仕組みとなっている。そこで、日本の議員定数を参議院50人、衆議院100人とし、公設秘書も現在の3人から20人とし、内閣直属の中央情報局を造るべきである。
- 1.議員定数を削減:衆議院480人→100人 参議院242人→50人
- 国会議員総数:722人→150人(79%リストラ)
- 2.公設秘書を増員:3人→20人
- 3.内閣直属の中央情報局の設置(2000人規模)
- 予算は公務員の新規人員を削減して確保(2000人減らせば、2000人雇えるみたいな感じ)
3.古い選挙しかできない日本、新しい選挙できるアメリカ
- アメリカでは電子投票もできるし、インターネットを活用して選挙もできる。しかし、日本ではいまだに旧態依然とした紙による投票システムしかない。その上、インターネットで選挙もできない。新しい時代に即した選挙が全くできない日本と、それができるアメリカ、電子投票を認めれば、投票率がアップするだろうし、ネットで選挙を行えば、低コストで選挙ができるため、比較的ニュートラル(中立、公正)な立場で政治が行える状況が生まれる。
- 1.公職選挙法を改正し、ネットで選挙ができるようにする。
- 2.ネットで投票もできるようにする。
まとめ
- 以上の改革によって、以下のことを実現し、より強力でバランスのとれた政治を実現できるようにする。