SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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電力問題における統計のない議論...

この電力問題は、本来は、電力が何万キロワット足りなくて、そのために、どれくらい努力しなければいけないという統計的な議論が必要なのですが、日本の議論において、そういう統計が非常に少ないことに気づきます。統計がないので、太陽光発電に必要な面積が足りないだの、エネルギーを買う為に莫大なコストがかかるだのと言う議論がされますが、実際のところ、土地は充分すぎるほど面積(休耕田100万ヘクタール中5万ヘクタール使えば1500億kwh発電できる:集光型太陽電池発電効率30%)がありますし、火力発電のエネルギーコストは2〜3兆円分の燃料を輸入する必要がありますが、それも日本の500兆円のGDPに比べれば、0.4~0.6%程度の規模であり、死活問題といえるほどのレベルではない。全体の統計が皆無で、恐らく、「とても大規模になるだろう」という「だろう」程度の議論しか出来ていないというお粗末さ。過去にそういう数字の伴わない議論のお粗末さを「文系の人」という事で括って書いた記事があるが、この記事で書かれていることが今回も繰り返されている。

 文系の人の環境の誤解
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20081201/1228058275

原発が必要だという人は、そういう事が分かっていなくて、原発が必要だ自然エネルギーはダメだと言ってしまっている。なぜ、こんな幼稚な議論が展開されるかというと、そもそも、報道において日本の全消費電力の規模や、日本全体のピーク電力の規模など、全体を俯瞰する情報が報道されていないのがおかしい。ちなみに日本のピーク電力は1億8000万キロワット(猛暑日の数時間)電力会社が役所に届けている総発電出力は原子力を除くと1億9000万キロワット、自家発電が6000万キロワット(余剰分は2000万キロワットしかないという話もある)これらを足し合わせて計算すると、2億5000万キロワット程度の発電出力が存在する。そして、節電によってピーク電力が抑えられている状況を計算すると、最近の東京電力の最大ピークは4599万キロワットであり、去年のピークは5999万キロワット、東京電力のピーク電力の規模は日本の1/3(人口も1/3)に相当するので、そこから3倍すると日本の電力ピークとして計算できる。すると、1億3800万キロワット、つまり、2億5000万キロワットの出力があって、現在のピークが1億3800万キロワットだとすると、全発電出力の55%程度しか、最大ピーク電力でも消費していない計算になる。そういう数字が分かっているから大阪の橋下知事も電力会社に「詐欺」だと言っている。
 
こういう統計がきちんと報道されると、恐らく脱原発が加速する。なぜなら、原発を止めても、日本の経済は痛まないと分かるからだ。二酸化炭素は増えるけど、自分の国は環境技術は世界トップクラスだから、それを活用すれば、自然エネルギーと省エネで、二酸化炭素を減らすことが出来るし、むしろそれをやることで豊かになるという図式が描けるのである。だが、そういうものを描いてしまうと旧体制の既得権にぶら下がっている人達、記者クラブメディア、電力会社、政治家、原発関連の産業、など古い時代の人達が困るので、彼等は必死になって自分達のメディアや政治家を総動員して、脱原発は夢想だというホラを吹いているわけだ。だが、原発が安全だといっている方が夢想だ。
 
3.11以降の信頼を失った原発にぶら下がる方が、むしろ日本が貧しくなるだろう。莫大なコストがかかるとか、面積が足りないとか、国民を脅しているが、そういう事を彼等は嘘を交えないで主張できてはいない。むしろ、原発の方が莫大なコストがかかる。彼等の主張は太陽光発電は49円/kwhという10年前の数値を持ってきて自分達が正しいという何だかみっともない主張ばかりでお粗末にも程がある。彼等は具体的な情報をふせて、国民に不安を植え付けることによって脱原発を阻止しようとしているが、情報をコントロールしても、現実がそれを否定していたり、インターネットで本当のことを広める人間が出てきているので、穴の開いたバケツに水を注ぐように、言っても、言っても、その言っていることに穴があるから、それを指摘されて信用が蓄積しない。だから、通じない。何より、以下のような現実を見せられてしまっては正当化しようがない。

福島第一原発3号基 爆発