SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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想定外への備えと電力

原発事故とソニー事件
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20110722/193550/

以上のリンクの記事を読んで、阪神淡路大震災を体験した人から聞いた話を思いだした。震災対応は三段まで考えておけということだった。つまり、一の手段がなかったら、二の手段、その二の手段がダメだったら、三の手段と大体三つくらい用意しておくと良いとのことだった。つまり、二段くらい想定外が生じることが多いということなのだ。そして、その二段を超える三段の備えが、震災対応として望ましい。つまり、三重のバックアップである。

電気だったら、送電網が止まった。一段目が止まる。二段目の自家発電に切り替える。しかし、オイルタンクが地震で破損して使えなかった。三段目に太陽電池の電力と電気自動車のバッテリーを組み合わせた電力みたいな感じ

通信だったら、基地局が停電で停止して携帯電話が止まった。電力が復旧しても基地局が破損して一部が復旧しない、正常な通信環境から無線LANをルーティングして、通信の確保、あるいは、高台の安定した地盤に設置した遠距離無線局による一人当たりの通信量を抑えた広域回線の確保など...

想定外が起こる事を前提とした多重の備え、ひとつの要素に依存しない。福島第一原発では、電力がなくなるということを想定していなかった。電力というひとつの要素にシステムの安全の全てを依存していたことが、あの原発事故を起こす要因となった。何もかも一撃必中みたいな、日本人の潔癖さが失敗を招いた。そういう考え方は非常に脆いのだ。それを外した時に、最大の危機に見舞われる。だから、本当に強い備えは、一撃がダメでも、二撃目、三撃目を用意している戦略性が大事なのだ。戦術一本で戦うから、その戦術を突破された時に全体戦略のない脆さが露呈する。

そういう意味では、長篠の戦いの信長の鉄砲の使い方は面白かった。武田軍が見ていたのは、当時の鉄砲の弾の装填時間の長さから来る戦術レベルの弱点から単純に騎馬による攻撃で勝てると見込んだ。しかし、信長軍の鉄砲隊を多段構成にした連弾作戦は、戦略的な鉄砲の使い方といえなくもない。それによって信長は戦国最強とうたわれた武田軍を破り、天下に覇を唱えるに至った。ひとつの要素に頼ることなく、複数の要素を戦略的に組み合わせることによって彼は天下布武を実現した。

チョット話がそれてしまったが、要するに完璧主義はガラスのようなものである。一見堅いように見えて脆い、その脆さを自覚するものと、そうでないのものは、危機に対応できる能力が全然違ってくるということなのだ。本当の強さは何重にも備えがアリ、それらがひとつの要素に依存していない構成のもの、例えば、福島第一原発では何重もの防護壁があると言われていたが、電気で冷却するという。その一点が破綻してしまうと、全ての防護壁をウランが突破してしまうという脆さがあった。つまり、何重にも備えがあるように見えて、実際には電気という一点に頼っていたわけだ。とても震災に対応できる三段構えの備えになってはいなかったといえる。こういう疑似多重セキュリティはダメ。多重でも何でもない。本物の多重システムは、そんなものではない。

日本の電力問題で言うと、原発は全て停止する事が必要。なぜなら、原発は非常に危険であるため、多重セキュリティを組むと膨大な投資が必要となり、結果として高コスト体質に陥りがちである。原発を安全に推進することは、その高コストを受容することであり、経済的なメリットは全くない。むしろ、潜在的な日本の破滅リスクや使用済み核燃料の長期間の保管など深刻で長期的な問題が山積みであり、全然、経済合理性がない。そういうものを今まで推進してきたのは、原発産業というものが、アメリカの軍産複合体のように巨大なものとなってしまい、それで飯を食っている人が沢山いて、彼等の巨体を支える為に膨大な投資が必要となり、それを維持する為に原発推進という事が叫ばれ、その巨大な資金がマスコミ、政治家に流れ、この国を原発推進に走らせたといえる。だがそれも、あまりにやっていることがデタラメすぎたため、3.11で吹っ飛んだ。

社会に何の役にも立たないもの、あるいは、原子力のように無駄の多いもので飯を食っている人が増えてしまうと、その人達が、その無駄を正当化し自己の保身を計る。まるで体に入ったウィルスのように全体を蝕む、よって無駄の多いもので飯を食うような産業はなくすことが大切、そして、自然エネルギーバイオマスなど真に有用な産業にシフトすることが望ましい

では、その吹っ飛んだ後の日本の本当に強い電力は何かと考えてみると、原子力一本で支えるような破滅的な上に脆弱なエネルギーシステムではなく、バイオエネルギーと自然エネルギースマートグリッドと省エネ設備を組み合わせた多重の備えをもつ供給消費システムである。そして、発電もひとつの会社に依存しないことが重要、だから、発送電分離も必要だし、電電公社の分割のように電力会社の分割も必要。

スマートグリッド
・電力の供給源を多様化(中央ではなくネットで電力を供給)
・電力のタイムシフト電気自動車のバッテリーをつかったムラの吸収)

自然エネルギー
・資源価格高騰の影響を受けない
・技術革新によって低コスト化が可能

バイオエネルギー
・出力の調整が可能

省エネ
・省エネは技術革新で可能

  • 省エネの要諦は、自分は省エネできていると思っている人ほど出来ていない。なぜなら出来ていると考える段階で既に「思考停止を起こしている」から、常にどこかに無駄があるはずだと「考えている人」が省エネが出来る人。よくマスコミが「日本は、これ以上節電できない」といっているけど、それは思考停止をしている省エネできない人の発想そのもの。全然ダメ。

電力の供給多様化
・自家発電のシームレスな活用
・送電会社の一本化(スペインの例に倣って国有化)

  • 送電会社の一本化が発電会社の多様化を可能とする。

 
地域にひとつの会社、ひとつの電力供給手段に偏った電力供給計画、電力というひとつの要素に頼った原発の安全システム、なにもかも、ひとつしかなく、多様性がない。これが今の日本の電力の状況なのだ。非常に脆い。一見堅いように見えて、そのひとつが突破されると実に脆いシステム。これを複数にして多様化し、その中で調和する仕組みを作り上げることが必要。それは、インターネットのようなものになるだろう。それがスマートグリッドであり、発送電分離であり電力の固定価格買取り制度である。また、経済産業省というひとつの情報源に頼ることも問題、内閣直属の別系統の情報源を確保することも必要。