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孫さん、自然エネルギー普及活動の緊急記者会見

自然エネルギーの普及活動に関する緊急記者会見

 
孫さんが各県の知事と組んで自然エネルギーを普及活動を始めた。この中で神奈川県の黒岩知事がソーラーバンク構想をブチ立てたのだが、自分が以前から提唱しているグリーンバンクとよく似ていたので、印象に残った。この銀行は、自然エネルギーに対して無利子の融資を行う事で、毎月の電気代で太陽電池を導入すると言うものである。例えば、3.36kwタイプを185万円で購入したとする。これを20年間毎月返済していくと、月7708円返済していけばいいと言う事になる。3.36kwタイプの年間発電量は、大体3360kwhなので、月に直すと280kwhであり、これを電気代(1kwh/22円)になおすと6160円となる。単純計算では1548円、毎月損になるが、余剰電力を42円で買い取ってもらえるので200kwhを自宅で使い、80kwhを売電すると、4400円(200kw×22円)+3360円(80kwh×42円)で7760円となり、大体イーブンになる。80kwhの節電は、省エネ家電を購入すれば充分可能だと思われる。ただ、住宅用に関しては、シリコン系の太陽電池よりも、自分は最近MITが発表した。太陽熱を活用した低価格な発電システムに期待している。
 
資料:MITが太陽熱発電兼温水供給システムを発表
 
この太陽熱発電システムは、現在発電効率が5パーセント程度と低いが、将来的には14パーセント程度まで発電できる可能性があるという。しかも集熱した熱を暖房や給湯に使えるのだ。これは重要で、家庭のエネルギー消費の約6割(54.9%)がこの暖房や給湯に使われているからだ。
 
NEDOの資料:家庭のエネルギー消費

つまり、熱エネルギーの活用は、家庭のエネルギー需要の重要な位置を占めるのである。50度程度の温水が手に入るとの事なので、風呂の給湯や暖房に使えると思う。しかも、ワット当たりのコストが0.5ドル(40円:通常のシリコン太陽電池は333円/w)なので、発電効率が14パーセントになったら、非常に有望な選択肢となる。3kwのパネルが12万円程度で手に入る計算だが、現在の5%の発電効率だと必要な電力を得るのに3倍の面積が必要になるので、日本の狭い家の屋根には現状では、実用的ではないのだが、将来的に発電効率が14パーセントになれば、同じくらいの面積で同じ発電量が得られるので、パネルコストが1/8になり、取付けコスト(推定:80万円)を含めると恐らくは、導入コストは92万円となり、大体半額となる。しかも、電力だけでなく給湯や暖房にも使えるため、コストメリットは、シリコン型太陽電池よりも遥かに高くなる。これに断熱ガラスも加えれば、家庭の暖房・給湯・電気を一手にまかなえるシステムの出来上がりと言うわけだ。こういう新しい技術の推進にソーラーバンクが活用されれば、非常に有望な選択肢となる。もし、このシステムが発電効率が14%になったら、ソーラーバンクの無利子融資と組み合わせても92万円の設備導入コストを20年間で支払うとして毎年4.6万円:月々3833円を支払えば、電気代、ガス代の殆どがまかなえてしまうと言う素晴らしいシステムが出来上がる。つまり、太陽エネルギーはお得という事になるのだ。そうなれば、爆発的な普及が望める。そして、日本の屋根の殆どに、そういうものが乗っかる事になるだろう。
 
業務用では集光型太陽電池が採算に合う状況が生み出せると思う。日本の狭い土地を有効に活用するには集光型の太陽電池が重要だ。これについては、イリノイ大学が発表した集光型太陽電池が素晴らしい。
 
Illinois大学とFraunhofer研究所、高効率の太陽電池を低コストで製造する技術を発表
 
イリノイ大学は、集光型太陽電池を低コストで生産する技術を発表した。
特徴
1.発電効率2倍(半分の面積でOK)

  • 発電効率が、通常のシリコン型太陽電池に比べて2倍程度なので、同じ電力ならば半分の面積で発電できる。

2.必要な太陽電池の面積は1/400〜1/500程度(省資源)

  • 少ない資源で沢山の電力が得られる。

3.低コストな製造技術

  • ・低コストな薄膜製造技術
    • 薄膜を製造する為に、従来と違ったアプローチを取っている。ガリウムヒ素と言うパンの間にヒ化アルミと言うハムを挟み、完成した層を酸性の溶液に浸すと、ヒ化アルミが溶けて、ガリウムヒ素の薄膜が取り出せる。
  • ・低コストな多接合太陽電池製造技術(妖怪百目のような構造を持った太陽電池
    • Semprius社が開発した集光型太陽電池の技術で、「micro-transfer printing」という印刷エレクトロニクス技術で、GaAs材料を大量に並べた多接合太陽電池の形で集光型太陽電池を作ると言う。
  • ・低コストなレンズ技術+放熱技術
    • 太陽電池セルは3㎟と小さく、Fraunhofer研究所が独自に開発したレンズは集光距離が10cmで小さなフレネルレンズ(3.8cm角:推定)が無数に並ぶような構造となっている。パネル裏側の銅版による自然放熱で充分だと言う。

 
この集光型太陽電池は、直径3.8cm程度の小さなレンズを使う為、集光型にしては10cm程度しか厚みがない。その分、軽くできるわけで架台のコストも少なくできるだろう。必要な軽くて丈夫なプラスチックは、最近、広島大学が「NOC」という同じ重さならば鉄の2倍の強度のプラスチックを開発したとのことなので、こういうプラスチック素材を集光レンズや架台の素材に使えば、軽くて丈夫な集光台を作る事が出来るだろう。しかも、このプラスチックは高熱にも強いと言う。フライパンの取っ手に使うプラスチックと同じくらい耐熱性があるようだ。しかも製造工程は非常にシンプルで、既存のプラスチックの製造工程の一部に手を加えるだけで製造可能との事なので、それほど高コストにもならない見通しらしいから、そういったものを活用すれば、低価格な集光型太陽電池が作れて、それで発電すれば、採算の合う発電が可能だろう。それをソーラーバンクで無利子で融資し、その電力を固定買取り制度で買い取ればいいわけである。
 
このように日本や海外にある技術を結集し活用すれば、原発のない社会は作り出せる。技術は止まっていない常に進歩している。それが分かれば、その加速度から、未来が割り出せる。それが割り出せない人間は現状に絶望し、周囲に自分と同じように絶望する事を求める。「そんな事は夢物語」であると...でも、そういう人達は「iPhoneは売れない」と言っていた人達と同じである。実際には世の中は動いており、その動きを読んだものが勝つのである。彼等の頭の中では世の中は静止しているが、現実は動いているのである。未来とは、その現実が動く加速度の事なのだ。孫さんは、そういう加速度を読むのがうまい人だ。ADSLの時もiPhoneの時も、時流の流れをうまく読み取って成功してきた。今回も、面白い事になると思う。なぜなら、そういう時代を動かすような大きな流れがあるからだ。