SKY NOTE

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原発の終焉

1.原発は日本の国土(農業)をダメにする

  • 私は、食料自給率を考える上で、日本国内の農地をフルに活用して自給率を改善するのには、原発の存在は邪魔だと思っていました。なぜなら、何らかの形で放射能汚染が発生した場合、その周辺の農地が使えなくなり、ただでさえ少ない日本の猫の額のような農地が減ってしまうからです。今回の原発事故でそれは起こってしまいました。現状ではまだ被害は限定的でありますが、将来においてそれを維持出来るかどうかというと、疑問符がつくのは今回の事故後、多くの人々に共通した認識だと思います。技術革新で安全になるというのは確かにそうなのです。しかし、それを越える危機が生じる事が問題なのです。日本は地震国(世界の10%の地震は日本で起こる)なので、それを前提としたエネルギー政策を論じなければいけないのです。

 
2.原発は安くない

  • 今回の原発事故で恐らく、原発は非常にリスキーで高コストな電源であるという事を証明してしまった。原発は安いと言われていますが、実際には、核廃棄物を長期的に処理する費用も含めると高コストになります。実際に電気事業者は1kwhあたり20銭を核のゴミの処理費用として徴収しています。2009年の日本の消費電力は9550億kwhなので、それは年間1910億円と計算されます。これを原発の発電量2800億kwhで割ると、原発の1kwhあたりの処分費用は0.68円(6円+0.68円)増えます。しかも、今回のような事故が起きてしまうと、その放射能汚染の被害保証を何らかの形で支払わなければいけません。そのコストも合わせると、6円/kwhと言われていたコストが、どんどん膨らむ事が分かります。つまり、コストが不確定で割に合わないのです。そして、今回の事故後、恐らく日本では新規の原発は作れなくなるでしょうし、世界的にも原発の需要は頭打ちになり、その代替手段である。省エネ、自然エネルギースマートグリッド、電子都市、バイオ燃料燃料電池などに注目が移っていく事でしょう。この新しいパラダイムの変化に気づく事が日本の将来にとって重要な意味を持ちます。3.11以前と以後とでは状況は変わってしまった事に気づく事が必要です。原発は安くない、むしろ高コストな発電方式であり、放射能を封じ込める為の目に見えないコストが無数にあり、経済合理性がないのです。

 
3.原発は安定電源でもない(しかも食糧安全保障を脅かす)

  • 日本国民の信頼を失墜した原発は、日本のエネルギー問題を解決する手段ではなくなりました。一気に減らす事は出来ないのですが、徐々にフェードアウトする形で消えていく運命でしょう。なぜなら、一度壊れてしまうと、放射能汚染で修理(運転復帰)するのが困難な上に、広い地域で農地が汚染され、都市では計画停電をせねばならないなど、デメリットが浮き彫りになったからです。つまり、原発は、電力の安定供給、食料の安定供給という両面において非常に問題のあるエネルギー源である事が証明されてしまったのです。

 
4.原発を必要としない新しい社会へ

  • 故に私たちは、原発の発電分と二酸化炭素削減の両面を満足させる社会の構築が必要になってくる。それは可能かと言われれば、技術的にもコスト的にも可能であると言えます。そして、世界の潮流はそこへ向かうでしょう。なぜなら、それが最も合理的な選択である事が今回の事故でより明確になったからです。それを説明する為にまず、日本のエネルギー需要の大まかな分布を説明するべきでしょう。

 

  • 全消費電力:9550億kwh → 5120億kwh
  • ・産業:3800億kwh → 1270億kwh(製造業を内需のみにし、週休3日制にする)
  • ・都市:3800億kwh → 1900億kwh(都市の50%を電子化)
  • ・家庭:1950億kwh → そのまま(在宅勤務で増えるがLEDと断熱ガラスで相殺)

 

  • 産業と都市で約79%使われています。これを発電する為に使われている電源
  • 日本の電力(2009年:9550億kwh → 5120億kwh)
  • 原子力 :2800億kwh → 太陽光:1500億kwh(集光型:1000億+住宅:500億)
  • ・ガス火力:2800億kwh → 1060億kwh
  • ・石炭火力:2500億kwh → 風力:700億kwh
  • ・水力  :860億kwh → 860億kwh
  • ・石油火力:590億kwh → バイオ石油火力:1000億kwh
  • ...となります。原子力二酸化炭素も出さないとなると、水力以外の全ての電源を否定する事になります。そんな事は可能なのでしょうか?実は可能です。

 

  • ・産業部門は1/3へ 3800億kwh → 1270億kwhへ
    • まずは省エネですが、輸出依存型の日本経済を抜本的に改革する必要があります。日本はこれまで、外貨を稼ぐ事によって、豊かな生活を得てきました。しかし、それを継続するのが難しくなって来つつあります。なぜなら、新興国の登場によって、コスト競争に曝されているからです。輸出産業というのは、輸出先の国が自分の国より豊かである場合、利益が生じやすいのですが、1989年以降の日本は、その輸出先の所得水準に追いついてしまいました。その結果、企業は輸出によって利益が出にくくなり、政府に減税を要求したり、リストラをしながら、かろうじて利益を絞り出しました。その利益も株主に配分され、労働者に渡らず、結果として日本はデフレ経済に陥ったわけです。それに加えて高齢化により、日本の競争力は落ちる傾向にあります。つまり、輸出産業は既に原価割れの状況にあります。減税やリストラという輸血以外で利益が出せなくなって来ているのです。加えて日本のGDPに占める外需の規模は15%程度、つまり、15%の規模の経済に合わせる為に、多くの労働者が給料を抑えられ、失業に苦しみ、若者は結婚も出来ないワケです。この現状からすると、もはや輸出によって外貨を稼ぐというモデルは日本にとってリーズナブルな選択ではない事が分かります。しかし、外貨がないと必要なエネルギーや資源、食料を獲得できません。ここで考えるべきなのが、日本の生産物の2/3が輸出製品だという事です。つまり、日本国内の需要を満たすだけならば、産業部門のエネルギーや資源の消費量を1/3に出来るのです。さらに日本には都市鉱山があり、鉄は毎年3800万トンのスクラップ鉄が生じます。これは日本の鉄の需要と大体同じ規模です。つまり、既に日本は鉄資源は自給出来るのです。このことから、日本は段階的に輸出依存型経済から内需経済に移行する事が最も合理的なのです。それは単にエネルギー削減というだけでなく、国の莫大な債務、高齢化社会などの所状況を考慮すると、それが最も合理的なのです。これで産業部門のエネルギーや資源は1/3になります。これで2530億kwh削減出来ます。単純に考えると、GDP15%の経済が消滅するのですが、それを週休3日制という形で皆で分担するというのが私の案です。85%に減少した労働量から、日本の全労働者の休みを1日増やすと、計算上17%の雇用増になります。休みを増やせば、15%の規模を吸収出来る雇用が生まれるわけです。同時に非正規雇用の問題も解消する方向に法体系を改正するべきでしょう。(内需主導経済への移行に伴う週休3日制の導入による雇用移動の際に非正規雇用の問題も法制度の改正で対応する。雇用移動が終わった時には非正規雇用の問題も自動的になくなっている形が望ましい)

 

  • ・都市はクラウドへ 3800億kwh→1900億kwh
    • 都市はオフィスや商店がありますが、これをクラウド化する事で都市が消費している膨大な電力を半減する。これは、意図的にそうするのではなく、時代の流れからそうなるのです。時代は、物理的な行為による高コスト体質を排除し、クラウドのようなオンライン上の低コストな商行為やビジネスに移行しつつあります。ネットショッピングやクラウドオフィスの台頭が世界を席巻する時代が来る事でしょう。それは既にFacebookのような実名型のSNSに現れています。実名という事はリアルなやり取りを前提としています。インターネット上で人々はFacebookのようなリアル指向のものと、匿名ベースの仮想ベースのコミュニティを使い分ける事でしょう。Facebookのリアル指向のコミュニティが、最近、出てきている3Dテレビの立体映像で作られた世界と融合し、商売やビジネスをやりはじめたらどうなるでしょう?そうです。オンライン上に新しい都市が出来てしまうわけです。あとは、その3D世界が私たちの感覚にフィットするような品質のインターフェースがあればいいわけです。そのようなものは、恐らく2015年頃に普及し始め2018年には、殆どの人がそれに参加していると思います。

 

 

  • ・石油の自給:2546億リットル→1025億リットル(石油藻:オーランチオキトリウム)
    • ・自動車用燃料:1000億リットル→100億リットル(電気自動車1/3×軽量化3/5×バッテリ走行1/2)
    • ・プラスチック:480億リットル→200億リットル(内需経済への移行:一部を鉄の代替として使う)
    • ・灯油+C重油:370億リットル→150億リットル(断熱ガラス-30% エアコン-20%)
    • ・農業船舶重油:300億リットル→270億リットル(人口減少、内需経済、魚の養殖)
    • ・LPガス  :180億リットル→100億リットル(保温浴槽、電磁調理器、ヒートポンプ)
    • ・電力用重油 :170億リットル→180億リットル(コンバインドサイクル)
    • ・航空燃料  :46億リットル→25億リットル(飛行機の軽量化で燃費30%アップ)

 

  • ・資源の自給
    • ・鉄:スクラップ鉄(3800万トン)で自給(内需のみ)
    • ・プラスチック:480億リットル→200億リットルバイオ石油で自給(内需のみ)
    • ・ガラスや鉄もNOC(結晶化ポリマー)で代替
    • ・セメント:ジオポリマーで自給(生成に石炭が必要ない)

 

  • ・食糧の自給
    • ・米 800万トン→720万トン(人口減少)
    • ・小麦 450万トン→飼料米(400万トン)
    • ・とうもろこし 1200万トン→飼料米(600万トン)+飼料藻(600万トン)
    • ・大豆 418万トン→耕作放棄地+水田を二毛作二次利用で200万トン+輸入200万トン

 

    • 大豆と天然ガス以外は、大体、自給出来るモデルが出来る。外貨は、それらが買えるだけ稼げればいい。高齢化しても仕事を減らしてあるから、働き手は充分、外国の移民など必要ない。外国の経済に振り回されない経済の自立性を科学技術で担保していれば、この国は大丈夫だ。原子力がなければ、日本のエネルギーや経済は支えられないという事はない。そういう発想は、従来の枠組みを存続出来ないというだけで、新しい枠組みではその限りではないし、このプランの方が人々が幸福に生きられると思う。大事なのは競争に勝つ事ではない、幸せに生きる事なのだから。過去において競争に勝つ事が幸せになれる道だったわけだが、その道はもうイバラの道でしかなくなっている。だから別の道を行くべきなのだ。