SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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人はドラマ(劇)を必要とする。

エレクトロニックアーツのiPhoneゲーム115円セールで購入したSIMCITYをやっているのだが、このゲームは、途中でつまらなくなる。なぜつまらないのかと思ったら、途中から変化が乏しくなり、新しい展開がなくなっていく、住民の不満はなくなり、重箱の隅をつつくような作業が続き始めると、退屈になってくる。「所詮は、キャラも何もない統計ゲーム、無機質で味気ない」という事になる。劇的な表現が面白さを生む。最初は町に劇的な変化が生じるSIMCITY、しかし、それが終わると変化がなくなり、ドラマ性がなくなると同時につまらなくなる。
 
抑揚のないお経のような講演を聞いていると眠くなるように、人には劇的な変化を求める習性があるようだ。それがないと集中力や意欲が途切れてしまう。その点、モノポリーは、サイコロの出た目で劇的な変化が続くので、まだ面白い。ただこれも、どちらかが一方的に有利な状況になってしまうと、変化が乏しくなり、面白くなくなる。
 
脳科学の先生曰く、脳は常に変化を求めている。との事なので、脳は常に劇的な変化、つまり、ドラマを求めているのだ。このドラマ性の例としてキング牧師の演説なんか、とてもドラマティックだったりする。だから、皆が共感する。ドラマという引力が人を動かす。そんでもって歴史すら動かす。ある意味の脳の習性が歴史を動かしているとも言える。
 
キング牧師の演説を感動するのは、やはり、差別を受けたり、不公平な状況に陥り、苦しんだ人ほど、彼の言葉には感動する。それは脳の中で彼の演説と自分の体験が連携しているからである。ヒトラーにドイツ人が共感したのは、第一次世界大戦の過重な賠償金によって周辺国への怒りが漲っている時に、その怒りを代弁する政治家、つまり、ヒトラーが登場した。言って見れば、ヒトラーとは、当時のドイツ人の怒りの代弁者であり、彼の怒声にも似た演説は、ある意味ドラマティックだったのだろう。その結果、ナチスが生まれユダヤ人が虐殺された。
 
劇的な変化に対する脳の渇望は凄まじい、例えば、DEATH NOTEというコミックがある。あれは、当時の世界情勢に対する怒りを代弁したものといえる。2001年の911同時多発テロを発端とする。イラク戦争など、フセインという1人の指導者を殺す為に、アメリカ人とイラク人双方に莫大な死体の山を築くという理不尽さ、その後のイラクの苦境、そういう社会の雰囲気の中であのコミックはヒットした。つまり、ペン一本で悪い連中を殺せたら、こんな理不尽な事を終わらせられるのに...そういう世の中の怒りの空気の中で竜巻のように登場した漫画だった。
 
その時代、その時代に合ったドラマがあり、そこに人は引きつけられ、場合によっては歴史すら変えてしまう。もし、世の中を変えたかったら、世の中全体の空気を読み、そこに竜巻を起こすような旋風を作る事だ。巧く捉えれば世界は変わる。