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これからの日本はゴミの中から再生する

これからの日本は、ゴミの中から再生する。高齢化と教育の失敗によって国際競争力が落ち続け、今や昔を見る影もない日本だが、その日本の再生のカギは実はゴミの中にあると言ったら、首をかしげる人も多いだろう。しかし、最新の研究開発状況を見ると、それは本当なのだ。
 
1.家畜のゴミ:2020年には、石油は家畜の糞尿、稲わらから作られるようになる

  • 渡邊信教授ら研究チームが有機物を炭化水素(石油)にして体の中に溜め込む藻(オーランチオキトリウム)が発見された。メリットは、この藻は太陽光を必要としないので、水深の深いプールでも良い事、つまり立体方向に生産でき、必要な土地を少なくできる。逆にデメリットとしては、空気中の二酸化炭素から炭素を取り込むのではないので、投入した炭素(有機物)と水素(水)以上に生産できないということ、つまり、国内の有機廃棄物の量が石油生産量の上限となる。

 

  • そうなると、石油は、それぞれの国の有機廃棄物で作る事になり、結果として、工業生産物は地産地消という形態になる。輸出産業は消滅し、国内需要に特化した規模となる。その生産規模は、現在の1/3である。(内需主導経済に移行し、労働時間短縮+ワークシェアリングで富の分配を行う必要がある)それが何を意味するか、石油であれば、今使っている石油が2500臆リットル(2.2億トン)程度だが、これに輸出産業分を削り、電気自動車や断熱ガラスなどで省エネをすれば、1100億リットル(1億トン)まで減ると考えられる。

 

  • 国内の有機物(合計1.0億トン)
  • ・家畜の糞尿:9030万トン:2002年
  • ・稲ワラ  :1500万トン:休耕田100万ヘクタール×稲ワラの収量15t/ha

 

  • この藻の油の生産効率は従来の10倍の効率であり、具体的には、深さ1mのプールに1ヘクタールあたり、年間1万トン、つまり、1万ヘクタールあればいい。大体、深さ1mのプールを10km四方に作れれば、日本全体の需要を賄う事が出来る。太陽光が必要ないので、プールの深さをを10mにできれば、計算上、3.2km四方の面積があれば出来る。ただ、土地が沢山ある北海道では出来ず、沖縄などの温暖な水温が必要との事。(米軍に出ていってもらって、その跡地を使うという手もあるかも)このように、これからの日本の石油は農業のゴミから作られるのだ。そこからプラスチックなり、燃料なりが手に入れば、外貨がなくても石油には困らないのだ。

 
2.鉄のゴミ:輸出しなければ、現在でも日本はスクラップ鉄で鉄は自給できる技術がある。

  • つい最近までスクラップ鉄(廃棄鉄)では硬い鉄が作れず、全ての鉄をリサイクルできなかったが、最近の電炉製鉄技術の進歩で硬い鉄も作れるようになった。(既にそういう工場が稼働している)国内のスクラップ鉄の規模は3400万トン、そして、国内の鉄需要は3500万トンである。しかも、最近は石炭も鉄鉱石も中国やインドの旺盛な需要により値上がりしているので、スクラップ鉄で作る方が安いのである。しかも電気で作るので、石炭を燃やして作る鉄に比べて二酸化炭素も1/4に出来るという。

 
3.ハイテクゴミ:レアメタル都市鉱山から

  • 携帯電話など電子機器からとれるレアメタルの密度は鉱山といっても過言ではなく、これらのゴミから、貴重なレアメタルを収拾する事で可能となる。問題はコストとの兼ね合いだが、レアアースレアメタルともに価格が高騰しているので、採集技術の進歩と価格高騰のクロスポイントも近い。既に日立がハードディスクからレアメタルを取り出す技術を確立している。(金、銀、銅は昔からやっている→採算が合うから)

 
4.耕作放棄地:休耕田100万ヘクタール+耕作放棄地38万ヘクタール

  • 政府の減反政策によって、従来は、うち捨てられていた土地が、家畜の飼料や石油の原料の生産地になる。

 

  • 飼料米の収量(100万ヘクタール)
  • 飼料米:8t/ha(800万トン)
  • ワラ :15t/ha(1500万トン)
  • 家畜の糞尿
  • 9030万トン(2002年)

 

  • これを牛や豚や鶏に食わせて、肉や牛乳や卵をとって、糞尿(ウンコ)は石油にするという流れになると思う。休耕田をフルに活用すれば、飼料米:800万トン、稲ワラ1500万トンが調達できるだろう。日本は飼料用トウモロコシだけでも1200万トン輸入しているので、飼料としては足りないが、その飼料を牛に限り、2割減らす配合飼料も2011年に実用化予定である。(牛の餌の消化効率を高める事で2割減らせるという)また、藻を飼料にする研究も進んでいる。これらの技術を使えば、飼料米から作った米粉(日本の小麦粉の輸入麦は464万トン)でパンや麺を作ったり、飼料にしたり、ワラを家畜の餌や石油にして、エネルギーと食料を自給できる体制を整える。つまり、耕作放棄地として使われなくなった土地が、一転して、日本の食料とエネルギー供給源となるのである。

 
まとめ

  • ゴミから有用な資源を獲得する技術が生まれる事により、日本は、今後10〜20年の間に石油や鉄やレアメタルを自給できる体制が整うだろう。食料も、米だけでなく、小麦の自給も米粉という形で可能となる。石炭(主に輸出用の鉄と発電)や天然ガス(主に発電と給湯)もいらなくなる時代が来るかもしれない。輸出がなくなれば、石炭と鉄鉱石で作る鉄もいらない。自然エネルギーを使えば、石炭火力発電(2500臆kwh)や天然ガス火力発電(2800臆kwh)の電力もいらない。

 
エネルギーの自給
 電力需要+発電量 
  地熱  :2000臆kwh(国内の地熱資源を全て使うという前提)
  太陽  :1000臆kwh(集光型大量電池:発電効率40%)
  風力  :700臆kwh(トンボを研究して微風で廻り、フクロウの様に静かに廻る)
  LED :1000臆kwh(2000臆kwh:100 lm/w → 1000臆kwh:200 lm/w)
  人口減少:1100臆kwh(2004年:1.27億人 → 2030年:1.13億人1400万人源)
   合計 :5800臆kwh
 
  石炭火力:2500臆kwh
  天然ガス:2800臆kwh(天然ガスの7割は発電用に使われている)
   合計 :5300臆kwh
 
 燃料の自給
  石油:石油:2500臆リットル → バイオ石油:1100臆リットル
  石炭:輸出用の鉄を作らないのでいらない。自然エネルギーでいらない
  ガス:LEDや人口減少でいらない、保温浴槽や節水シャワー、電磁調理器
 
食料の自給
 飼料米(800万トン)
  小麦 :460万トン→米粉(460万トン)
  飼料米:340万トン(輸入飼料トウモロコシ1200万トンの一部)
      配合飼料で牛のみであれば飼料を2割減らせるという
 二毛作
  大豆:?万トン(耕作放棄地38万ヘクタール+田んぼで二毛作が出来るところは生産)
 飼料藻
  研究中 
 
資源の自給
 鉄   :スクラップ鉄 2004年:1.1億トン→2030年:0.34億トン 輸出なし)
 ポリマー:バイオ石油から作る(2004年:480億L → 2030年:150億リットル)
      輸出なし
 ガラス :NOC(プラスチックに加工を施す事で同じ重さならば鉄の2倍の強度)
 セメント:ジオポリマーで生成時に必要な石炭の熱いらない。
 
現状の研究開発から見るに、エネルギー、食料、資源が自給できるラインが出来始めていると思う。これを実用化したり、普及させる事で、日本は再生するだろう。少なくとも、生活に必要なものは、自国内で殆ど揃えられる形が出来つつあるように見える。その時代は、輸出を放棄する事で、国際競争から離脱、減った仕事をワークシェアリングで分け合い、休みが多くて余裕のある生活。(バカンス休暇:1ヶ月以上の休みがとれる)食料もエネルギーも資源も全てがきちんと自国内で供給される為、為替相場に左右されない安定した経済。日銀が国債を買い上げて償却して円が安くなっても、外国から買うものがないので、痛くもかゆくもない、どうしても外貨が欲しければ、アメリカ国債を売ってドルを調達すればいい。その結果、政府は財政難から離脱できる。老後の心配もない。負債がなくなれば、金利負担に伴う支出をゼロに出来、その分を社会保証に回せるので、社会保証は安定財政となる。総合すると、エネルギー、食料、資源が国内で調達できるため、国際競争をする必要がなく、輸出をしないので労働人口も少なくてよい、その分、休みを増やして、1ヶ月以上の休暇がとれるような状態が生まれる。将来不安が少ない社会にする事が出来る。このような事は、短期的には不可能だが、長期的には可能と見ている。その方が人間らしい生き方が出来ると思う。
 
それにしても、従来はゴミだったものから日本が再生するとは、皮肉なものだ。