SKY NOTE

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焦りが伝染するメカニズム

焦りとは、準備行動の欠けた行動である。
 
通常の状態が準備行動100%だとすると、焦りの場合は70%ほどになっている。強権的な親や家族に育てられた子供は、親が焦って命令ばかりをすると、その焦りと同じリズムで生きないといけない為、本来冷静な子供であっても焦らなければいけなくなる。つまり、準備行動70%にしないと、親に怒られてしまうのだ。ということは、ドジでないと親に否定されてしまうのだ。要するに親と同じようにドジで間抜けを強制されてしまうので仕方なくそうする。しかし、あまりそれが長く続くと習慣化してしまう為、本当にドジになってしまう。

自分のペースとは、自分の準備行動を100%に設定し、それが外部の影響を受けない事である。子供の自主性を認めるいい親に育てられた子供は、準備行動100%が出来ているので、慎重かつ確実に行動できる。
 
宇宙戦艦ヤマトの発進シーンで、エンジン出力が100%になったので、島が波動エンジンを始動させようとすると、沖田艦長が「待て。波動エンジンの始動は1発でしなければならない。万一失敗したら、とりかえしがつかなくなるんだぞ」と言って制止する。そこへ古代が焦って「艦長、ぐずぐずしていると、あの超大型ミサイルに吹き飛ばされてしまいますよ、いいんですか」と言うが、沖田艦長は「古代、エンジンがかからなければ、全ての武器が使えんことがわからんのか!」と語気を強めて基本事項を説明する。そして、「徳川君、目一杯注入するんだ」と、危機的状況の中でも発進準備を冷静に実行する。一向に発進しないヤマトに地球司令部もしびれを切らして「地球司令部より入電、ヤマトはまだか、と言ってきてます」と悲鳴を上げる。すると沖田艦長は「待てと伝えろ」と冷静に言う。中略、徳川が「エネルギー、120%」と言うと、満を持して沖田艦長「島、補助エンジン始動」と命令する。島が「はい、補助エンジン始動。エンジン出力、100、200、300、600、1200、2000、2500、2900、3000。波動エンジン回路接続!・・・・・・・艦長、動きません!」とテンパっても、落ち着いて「もう一度点検せよ」と命令。島がミスを報告「・・・・・艦長、申し訳ありません、連動スイッチがオフになっていました」古代が焦って島を罵倒する「しっかりしろよ!」島が「補助出力3000!メイン接続」しかし動かないヤマト、古代が「・・・・・動かないじゃないか!」と再び島を罵倒する。しかし今度は冷静にきちんと行動した島を養護するかのように沖田艦長「黙れ!」と軽率な古代を制止する。
 
それからしばらくしてヤマトが始動する。
古代:うわっ、やったー!
島 :動いた、動いたぞ!
徳川:波動エンジン始動!
 
 超大型ミサイル − 目標 = ヤマト
 
 
 参考飼料:宇宙戦艦ヤマト「英雄の丘」
 http://www10.channel.or.jp/yamato/bbs/bbs.cgi?view=15599
 
ここでは、沖田艦長の行動と島や古代や地球司令部の違いが明瞭に描かれている。沖田艦長が危機的状況の中でも冷静に焦らず行動できたのは、目先の危機よりも、より広い視野に基づいた冷静さだ。視野が広いので論理的帰結がしっかりと頭の中に入っている。つまり、準備を100%やった上で始動できなければ、ヤマトも地球もそこで終わっている。だから、準備を70〜とか80%程度で中途半端にやろうとする古代を強く制止する。やるなら確実にやる。それ以外に地球を救う道はないという明確な意思がある。つまり、中途半端にやって失敗するのが古代達、確実にやって成功するのが沖田艦長と言った所。100%やっても負けるものは負けるのだが、そうであるならば、最初から地球は終わっていたと言える。それは沖田艦長が一番わかっている事。ヤマトを得るまでは、現状の地球の戦艦では勝てないと判断し、戦線から離脱する事を選び、生き残って再起を計っている。しかし、ヤマトを目にして初めて、敵に勝ちうる戦艦、つまり、希望を見いだした沖田艦長は、これで何としても必ず地球を救うという信念を抱いたに違いない。その為に必要な事は波動エンジンを確実に始動し、全ての武器を使用可能にしなければいけない。具体的には波動エンジンを120%始動し、その出力をヤマトの全武器に接続する事。その為のプロセスを100%確実に実行する。つまり、プランを実行する為の心の準備が既に出来上がっている。プランの外の不測の自体が起きても、周囲の雑音に目もくれず、準備する時間をギリギリまで確保し、確実にプロセスを実行していく姿は、冷静な判断とは何なのかという事を明瞭に描いていると思う。
 
沖田艦長の視野

  • エンジンを始動しなければ何も始まらない。だから確実にエンジンを立ち上げることに専念する。

 
古代の視野

  • 目先の超大型ミサイルにあわてふためき、それに意識が集中し、ヤマトの波動エンジンを早く起動しようとする。

 
沖田艦長と古代の違いは、基本事項の把握、つまり、ある事を実行する為に何が必要なのかという事をどれだけ把握しているかという違いがある。古代は目先の問題に意識が集中してしまうのに対して、沖田艦長は、ミサイルの到達時間やヤマトの始動条件など、全体を把握している。これが違い。エンジン出力を120%に上げても、超大型ミサイルを破壊する時間はあると判断すれば、できるだけ確実な方法を選ぶ。
 
全体を俯瞰して、最適な答えを見いだし、それに不断の決意をもって実行する沖田艦長に対し、超大型ミサイルという目先の危機に目が奪われて周辺状況の把握が未熟な古代の違いがよく現れているシーンといえる。俯瞰によって分かる論理的帰結から生じる達観。俯瞰できず、それ故に論理的帰結も分からず、目先の危機に慌てふためく古代。これが焦るものと冷静なものとの違いだと思う。