二酸化炭素を出さず、食料、エネルギー、資源を自給自足するモデルを考えていたら、輸出という考え方が、極めて20世紀的で古いコンセプトだと言う事が分かった。食料、資源、エネルギーが循環的に自給自足できてしまうモデルの中では、地産地消が最も効率の良い形になってしまうのだ。この考え方は、恐らく20年くらい進んだ発想かもしれないと思えるほど、現状とは違いすぎている。
私が考えたのは、国内の鉄やポリマーの消費量、新素材、電気などのエネルギー、穀物や飼料などの国内消費量を元に、それらを未来に登場するであろう新しい技術でどうなるかシミュレーションしてみた。
素材 2004年 2030年
鉄 :3400万トン → 1500万トン(鉄)+750万トン(NOC)
プラスチック:1500万トン → 1340万トン〔藻から生成)
エネルギー 2004年 2030年
電気 :9700臆kwh → 6700臆kwh
石油 :2560臆リットル → 0
石炭 :1.7億トン → 0
天然ガス :780臆立方メートル→ 338臆立方メートル
食料 2010年 2030年
米 :830万トン → 730万トン(人口減少)
小麦:480万トン → 420万トン(人口減少:米粉)
大豆:
飼料:1200万トン→ 450万トン(飼料米)+610万トン(飼料藻)
各自給率
素材自給率 :100%(鉄は再生鉄+プラスチックはバイオポリマー)
エネルギー自給率:75%
食料自給率 :100%
天然ガス火力発電やバイオポリマー生産工程で生じる二酸化炭素を高密度な藻の立体培養水槽に入れ、吸収させる。この二酸化炭素が藻の量産に必要な為、地産地消でなければいけなくなる。その藻から、鉄の代替素材であるNOC(プラスチックの硬い奴)やディーゼル燃料や飼料を作る。つまり、輸出産業は存在しえない。二酸化炭素ですら資源として活用する為、最も効率のいい形は、電力やポリマーの生産時に出る二酸化炭素を使って藻を作る事なのである。
輸出入が必要なくなると輸送用の船舶は使わないし、魚の生産も養殖がメインとなると、漁業に必要な船も減る。よって、船舶に必要な重油もいらない。農業機械も電気で動くようになっていくと、そのエネルギー源は電気であって石油ではない。
食料もエネルギーも資源も、エネルギー以外は、ほぼ自給できてしまう状況になり、それらが循環するモデルの中では、世界中の物資が移動して融通しあうと言うモデルではなく、国内のミニマムな循環の中で完結してしまう。つまり、外貨を稼ぐ必要も生じず、輸出産業もなくなり、生産量は現在の1/41/3程度にまで落ち込む為、仕事が減る分、休みを増やして富の分配をする事になる。
肉も魚も米もパンも野菜も食べれて、衣食住、何不自由なく暮らせて、休みも週休5日制になってしまう。外貨が殆どいらないので、国際競争などする必要なく、国際的な金融不安とは無縁である。二酸化炭素もほぼ0に近い排出量なので、外貨は排出権を売って手に入れる事が出来る。
あまりにも現状と違いすぎるので絵空事のように感じる人が多いと思う。恐らく、読んだ人の99%は信じないだろう。だがこれが21世紀の標準なのだ。