SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

ゲゲゲの女房と日本の経済成長

ゲゲゲの女房をみて、水木しげるの奇妙な漫画を大手出版社(週刊マガジン)の1人の編集員が採用したが、登場早々、読者投票で最下位を2回連続して打ち切りか?という状況で、他の編集員からも「気持ち悪い」と営業から文句が来ていますと苦情が述べられる中、水木の漫画を採用した編集員が「うちは40万部ライバルは60万部だ。この途方もない数字を抜く為には普通の事をしていちゃダメなんだ!」「安牌ばかりを切り捨てていたら、トップを狙えない」「トップを狙うには新しい事をしなくちゃダメなんだ」と言って、皆を説得した。
 
この「安牌ばかりを切り捨てていたら、トップを狙えない」という言葉が今の日本に足りない発想だと感じた。つまり、業績に対してリスクのある選択を全くしなくなった日本企業は、新しい事が出来ず、安全パイを切り捨ててばかりで成長がない。2000年を境に日本にデフレが10年も続いているのは、新しい価値を創造せず、付加価値のあるものを生み出してこなかったから、価値が陳腐化して、デフレが続いているのではないか?そう考えると2000年以降の停滞の説明に筋が1本、通るのです。
 
 日本のインフレ率(2000年を100とすると2010年は96.55)
 http://ecodb.net/country/JP/imf_inflation.html
 

年度 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
インフレ率 100.00 98.82 98.53 98.14 98.33 97.94 98.24 98.92 99.31 97.65 96.55

 
成果主義と減点主義が融合し、ある意味、減点主義的発想が成果主義によって制度化されて運用されてしまった結果、安牌を切り捨てるシステムばかりが発達して、危険牌で勝負する姿勢が全くなくなってしまった結果、新しい事が全く出来ない強固なシステムを日本企業は完成させてしまったのだと思います。その結果、デフレが10年間も続くという異常な状態が生まれてしまったのだと考えると、2000年以降の停滞が説明できるのです。なぜなら、私がCEATEC(日本最大の技術見本市)で新しい技術が見る事が出来なくなった時期と重なるからです。さらにソニーの内部(元役員:天外伺朗氏)のコメントにもそれと見られるものがあり、成果主義こそがこのデフレの元凶であり、それを日本型経営に戻す事がデフレ脱却と日本成長のカギとなると考えられるのです。
 
 何が「モルモット精神」を壊したか──ソニーの元役員が明かした
 http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20070109/126178/
 天外司朗「成果主義ソニーを破壊した」文芸春秋新年特別号
 http://plaza.rakuten.co.jp/ryu32/diary/200612130000/
 
記事引用
ソニーで始めた成果主義による人事評価が,マイナスに作用したと明かしているのだ。職業病で,私は本の興味を引いた部分に赤線を引っ張る癖があるのだが,そうするとこの記事は真っ赤になってしまった。

ソニーショック(2003年)の二年ほど前(2001年)から社内の雰囲気が非常に悪くなっており,心身に変調をきたす社員が激増していた」「ソニーが輝いていた時代と現在との違いを考えたとき,まず言えるのは『燃える集団(注:燃えるエンジニア)』がなくなってしまったということだ」「いまのソニー社員は,大切な内発的動機を失ってしまったように見える。それはなぜなのか。私は成果主義が導入されたからだと思っている」「成果主義が導入されるにつれ,社員は次第にやる気を失っていった。これでは『燃える集団』など生まれるはずもない」「そもそも成果主義とは人間のパフォーマンスを数値化して,客観的で公正な評価をくだそうというものだ。しかし『客観的で公正』な評価など可能だろうか。私は無理だと思う」「成果主義の弊害の最たるものは,社内の雰囲気が悪化することである」「管理が強化されて,一見,合理的な査定が導入されると,そうした非合理的な行動(注:部下の成長を考えた温情や信頼感)をとる人間はいなくなる。自分が損をするだけだから,みんな責任逃れに終始する。これではチームワークなど望むべくもない」「『人のやらないことをやる』と独自技術を追い求める姿勢は,いまの収益一辺倒のMBA的な視点からすると失格だろう」「いまやソニーが『マネした電器』になってしまった」「いま日本中の企業でうつ病などメンタルの問題を抱えた社員が増えている。それはダメ上司の導入した無責任な合理主義経営が,社員を痛めつけているからだ」──。

 
この中でソニーが2000年から本格的に導入した成果主義が社員に新しい事をやる余裕を失わせ、ストレスでうつ状態になるものが続出するなど、成果主義を導入した会社の惨状がリアルに描写されている。この記事から考えられる事は、日本型の成果主義とは減点主義を制度化し、強化したものだと分かる。人はプラスのものよりもマイナスのものを見る方が容易い。この安易さがマイナス方向の評価を強化してしまう。このマイナス思考の発想を制度化し、強化したのが日本型の成果主義ならば、社員がうつ状態になるのも頷ける。
 
実際、私の義姉も全く同じような評価をする人であったため、良く分かる。こういう評価をする人間の下にいると、いつも心が暗く沈んでしまい、新しい事が何も出来なくなってしまい、ノイローゼ状態になる。この記事の中でうつ状態になったソニーの社員と全く同じである。義姉の問題点は、自分の了見の狭い理屈を他人に「徹底的」に当てはめてしまう事である。私の場合、義姉程度の人間に反論し、叩きつぶす事は簡単にできたが、私が勝てなかったのは祖母だった。祖母は臆病な人で、争いを恐れるあまり反論する私をいつも止めた。つまり、私は二つの意味で徹底的に頭が抑えられていたと言える。まず、了見の狭い理屈を「徹底して」当てはめる義姉と、それに反論する事を「徹底して」抑止する祖母、この両者が重なって私の高校時代はほぼノイローゼ状態だった。疲れ果ててショッピングセンターでフラフラ歩いていると、学校の先生の母親が「彼はとても疲れている心配だ」と言ったのだという。了見の狭い発想を強制されるのは人の心をその狭い了見という牢獄に閉じこめる。
 
1.了見の狭い発想は、日本の減点主義教育にあり

  • 私が見るところ、了見の狭い義姉に相当する発想は日本の「減点主義教育」によるマイナス思考、ちなみに義姉の親は教師である。義姉は親のやり方を踏襲して家の中で学校をやってしまっていた。人に命令し、指導するのが当たり前だと考えている傾向があり、しかも、その発想が減点的でマイナス思考なのだ。これが元来、日本人に教育されインプットされている事だ。世界で誇るべき高い技術があっても、それをプラス指向に生かせないのは、この教育による責任が大きいと思う。

 
2.減点主義を正当化し、制度化した成果主義

  • 減点主義だけならば、まだ反論する余地はあった。私も義姉だけならば、反論して叩きつぶす事は出来た。しかし、これが制度化されると困った事になる。減点主義に成果主義と言うお墨付きが生まれ、組織のシステム全体との戦いになってしまうと、分が悪くなる。私の場合は、家の最高権力者の祖母と対立する事は、非常に厳しかった。逆らえば全体を敵に回す状況は、非常にマズい。マイナス思考の奴を1人非難するのと、システム全体を非難するのは全く次元の異なる戦いになる。こうなってしまうと、独自の事や自由な発想は全く出来ない環境が完成してしまったと言っても良い。そして、実際にソニーは完璧なまでに新しいものが生み出せないマンネリ製品しか生み出せない企業になってってしまった。

 
まとめ

  • 最も問題なのは、成果主義であると私は見ている。やはり、日本人のマイナス思考を制度化してしまっていると考えられるこの制度は、この10年間、実績と言うよりかは弊害の方が多かった。成果主義は、私の頭を押さえ付けていた祖母と似ていて、危険であると思う。成果主義は臆病な人間にとって便利な道具なのだ。分かりやすい数値による評価は、誰にでも伝えやすいし正当化しやすい。反面、数値に出し辛い新しい事の価値は全く評価できない。日本が成長する為には、この分かりにくい部分を勇気をもって挑戦できる状態を作り出す事。その為には、マイナス思考を制度化している日本型成果主義の撤廃が必要だと思う。任天堂トヨタ成果主義を導入していないが世界トップ企業だ。トップになるためには、安牌を切り捨てる成果主義ではなく、新しい事(危険牌)に挑戦できる日本型経営をやるべきなのだ。故ピータードラッカー先生も日本型経営を褒めておられた。日本企業は今こそ成長の為に成果主義を捨てるべきである。成果主義は弊害ばかりで何も生み出さなかったと正直に総括するべきなのだ。

 
サムスン
基礎より応用、稼ぐ韓国 日本の大学研究成果を採用
http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY201007070564.html
 
引用

日本と違って韓国の経営者には財閥オーナーが多く、「日本企業よりリスクを取りやすく意思決定も速い」。それが応用で瞬発力を発揮する差に表れているという。日本勢は有望な基礎技術が足元にあるのに、投資に踏み出せていないというわけだ。

 
この記事ではリスクが取れず二の足を踏む日本、オーナー社長の素早い意思決定で先手をうつ韓国との差が明瞭に現れている。日本は成果主義という重しを捨てて、リスクが取りやすく先手がうてる体制(日本型経営)にしなければダメだ。安牌を切り捨ててばかりで、新しい事に二の足を踏んでいてはダメなのだ。日本企業は、研究開発部門だけでも成果主義を撤廃し、新しい事ができるようにするべきだ。
 
ソニーの創業者
井深 大氏の経営を分析したフロー理論による経営方式、成果主義に代わる提案を天外氏が書かれているので、それを紹介します。

 
フロー理論(フロー理論とはなんぞや?)
http://plaza.rakuten.co.jp/aamnet/diary/200604130000/
 

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