頭のいい奴がやればいいと言う詭弁

よく、国全体の問題について「自分は分からないから、頭のいい奴がやればいい」というセリフを聞くと、ああ、この人、民主主義を分かっていないなと思う。その考え方は、答えを出すだけならば有効な考え方である。実際、頭のいい奴に任せれば、答えはすぐに出る。しかし、それを実行する段階になると、コンセンサスが必要になる。つまり、ただ、頭がいいだけでは、行動に移す事はできない。特に民衆の総意によって行動する民主主義においてはそうだ。実際、私の義父は天才だったから、質問すればすぐ答えが出てくる。（まるで自動販売機みたいだった）でも、義父の人生は成功したとは言えなかった。義父がぶつかったのは皆の合意を得る事だった。彼はすぐ答えを出せる。（天才だから）しかし、それが真の答えだと理解できる人間が周りにいなかったので、彼の才能は全く生かされる事なく社会に埋没して行った。恐らく、天才と言う人種の多くは、社会の無理解によって黙殺されていると思う。
　
頭のいい奴が、頭のいい奴だと理解するのにも、それなりの知性が必要だ。考えようとしないで他人任せにする人間にそんな知性があるかと言われれば、望み薄と言わざる終えない。優れた人間のクールなアイディアを生かす為には、自分もそれなりにクールじゃないとダメなんだ。そして、良い民主主義では、国民の総意がクールである事を前提にしているんだ。でも、実際は、議論の丸投げをするような人が多くて、何がクールなアイディアなのか分からない。もっと言えば、マスコミのレベルがあまりにも低いこの国では、全体の総意が、彼らの無能さによって大きく引き下げられている。そして、その無能な連中の言いなりになってしまう人々。ある意味、この状況は民主政治にとって絶望的だ。でも、インターネットがあれば、この問題を簡単にする事ができる。こういう素晴らしい道具があるのだから、チョット知りたい事や分からない事であっても、それを知ろうとすれば、それ相応に答えは調べられる。iPadを見ると、その可能性をひしひしと感じる。なぜなら、iPadに表示される映像や文字は美しく、既存の紙メディアの代替になりうると感じるからだ。そして、それが誰にでも使える簡単さをもっている。つまり、既存の無能なマスメディア、具体的には、大手新聞や民放テレビ局を駆逐できるかもしれないと考えるからだ。
　
民主主義では、他力本願は衆愚政治の入り口、皆が考える事で良い答えを評価できるようになる。私はいい答えは常にあると思う。だが、民主主義では、その良い答えを評価できる人間が51%いないと実行できない。何も考えず他人任せにしている人間が半数以上いると、良い判断は否決され実行できない。今の状況はそのようになっている。多くの人々はマスメディアを信じているようだが、私に言わせると、多くのマスコミは、重要な事について、その決定理由を伝えていないため、人々がそれを見たリ読んだりして論理的に思考できるようになっていない。日本には、なにか目に見えない独裁者がいるように思えてならない。独裁者は電話は規制したが、テレビは推奨したと言う。なぜなら、テレビは一方的に自分の主張を伝える事ができるからだ。逆に電話のように自由に民衆が通信できるような状態は、独裁者にとって好ましくない。日本のマスメディアは、重要な事について理由を伝えない事で、市民に考える事ができないようにし、反面、分かりやすいBGMや映像的演出などで、特定のメッセージを送り、政治をコントロールしている。実際、日本の総理は、そのマスメディアの集中豪雨を受けて辞職に追い込まれた。だが、どうして？なぜ？と考えると、彼らの文句や主張が何も建設的な答えをもっておらず、ただ、何かを攻撃しているだけだと気づくだろう。
　
地デジに移行し、空いたVHF帯域の電波を携帯電話に使わず、一方通行の放送サービスに使うなんて、時代遅れであると同時に民主的でもない。独裁者が放送サービスを好み、電話のような通信サービスを嫌っているのと同じような決定だ。インターネット回線をもっと増やして、日本をいつでもどこでも、民主主義にするべきだ。放送サービスと言うのは一方通行で独裁的なのである。21世紀は、独裁メディアはいらない。そして、他人任せにするような発想は、時代遅れである。なぜなら、それは民主主義以前の殿様に政治を任せていた時代の論理だからである。殿様に決定権限があったからこそ、お上に任せると言う発想ができる。しかし、民主主義では国民に決定権限があり、51%以上の人が正しい判断をしなければ、良い政治はできないのである。よって、頭のいい奴に任せようと言う考え方は衆愚政治の温床である。そんな考え方では、誰が頭がいいのかすら分からないであろう。皆もう少し、自分の社会についてもっと考えなければいけない。そうでなければ民主主義では良い政治は望めない。