SKY NOTE

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光の道構想〜電子カルテ編〜

光の道構想 Part1 (125分09秒)
http://www.ustream.tv/recorded/6880277

画面の底部の再生ボタンを押すと再生されます。

 
光の道構想ソフトバンクの孫さんと佐々木氏が非常に密度の濃い議論をUSTREAMで公開していたので、その一部を紹介する。全部でPart1~Part3まであり、合計5時間の長い動画だが、今回はその中の8分間の電子カルテについてピックアップして紹介する。
 
1.現状の電子カルテ政策の問題点(35分〜43分:8分間の内容)

  • 何を、いつまでに、どんなものをやるか、具体的にやる。今のままでは抽象的すぎる アバウトすぎる。

 

  • 電子カルテ
  • ・無償であるべきなのに有償である。
  • →個別にやるからコストアップになる=コスト高で有償である
  • →医療クラウドに統合すれば、劇的に安くできる=無償化できる
  • なぜならソフトは一つでいいし、中央のサーバで一元管理すればいいから
  • ・共有できない電子カルテ村社会的な電子カルテ
  • ・病院内のカルテであって、ローカルに過ぎず、カルテの仕様もバラバラ
  • →相互活用ができず効率アップに繋がらない
  • →医療のコストダウンに繋がらない

 

  • 今配られている電子カルテは有償で、しかも全部仕様はバラバラで、しかもローカルの中の一つの病院の中の電子化を図ると言うだけであって、何らクラウドになっていない。つまり、病院間をまたがった形での電子カルテに全然なっていない。だったら電子カルテになった意味が殆どない。単なる事務作業を改善する...病院内のローカルエリアネットワークです。だから、ネットワークの思想としては遥か昔の遅れた発想で、本来電子カルテというのは、社会として共通インフラとしての医療クラウドがあって、そこに無償で配られた統一の電子カルテ端末が共通クラウドにスパッと自動的に繋がる。しかも、それを5年以内にやると、ここまでやると無償でもらえるのならば、あ、文句ありませんと、高いからいれない、で、病院ごとに違うから覚えるのも面倒くさい、しかも、病院がまたがったら一箇所でレントゲンを撮ったら、別の病院でまたレントゲンを撮り直さなければいけない...なんら効率アップにはなっていない。

 
2.なぜ、この10年、電子カルテへの移行が進まなかったのか?

  • その後、佐々木氏が長い期間をかければクラウドベースになるというコメントを入れたら、孫氏は、「長い期間ではなく、僕だったら5年でやる」という風に明確に期限を切ってやるとの事だった。佐々木氏が、現実には電子カルテは粛々と進み始めていて、まず、各病院ごとのスタンドアローン電子カルテが浸透し始めているという主旨のコメントを入れると...孫氏は、「”まず”それがダメなんです。要するに”まず”でローカル毎の電子カルテを作ると言う事になると...異なった電子カルテ同士を後でつなぐというのが至難の業になる」ここで、そういった事をする帰結のデメリットを孫氏は主張した。

 

  • 勿論、孫さんのおっしゃるクラウドベースの全国共通の電子カルテは素晴らしいと僕も分かりますよ。僕は必ずしもスタンドアローン電子カルテをまずやるべきだと言う話をしているのではなくて何故それが一気呵成にいかないか?と言う事を聞きたいわけです。佐々木氏が問うと...孫氏は...「ビジョンが明確ではないからです。誰も明確なビジョンで、いつまでに100%の医療カルテを電子カルテ化する100%電子カルテの情報を統一クラウドに集めると...いうビジョンを誰も明確に示していないからなんです」「誰も大きな声でそれを叫んでいない」

 

  • 佐々木氏が、「ただ、電子カルテをやりましょうとは散々言っているのですけど...」と言うと、孫氏は「電子カルテ...統一クラウドという事を誰も言っていないんです。命をはってそこで事を成そうというようなビジョンと...その心意気と...そのコミットメントをする人物が日本国家に誰一人としてその本気の男が生まれていないと言う事が一番の問題なんです」

 
3.現状では電子カルテに移行する為の医師のリテラシーが足りないのではないか?

  • 医師の団体とかが...あるいは厚生労働省がまったくついていけない...あるいはお医者さんの間でも電子カルテそのものに対して抵抗力強い人が結構いるわけですね。紙の方がいいとおっしゃっているような...現実に日本の病院、クリニック含めると、電子カルテの普及率は10%台にとどまっちゃってる。これを進める為にはビジョンは勿論大事ですけれども、それ以上に医師のリテラシーの底上げであるとかですね...医師会をきちんと組織として説得するとか、そういう人的な努力がどうしても必要になってくると思うんですよ。と佐々木氏が問うと、孫氏は...努力は必要だけど、ビジョンのないところに努力がしようがない、明確なビジョンと...目標と...しかも期限付きの目標と...何をやるか、何故やるか、どうやってやるか、というような事まで明確な旗印がないと、皆が中途半端にちまちま、あそこで愚痴を言ってこっちで愚痴を言って、結局、みんな愚痴を言って日本が丸ごと医療費倒れすると...いう事だと思うんですよね。

 

  • 佐々木氏:電子カルテに関して言うとですね。電子カルテはブロードバンドを普及させれば即普及するのか?勿論、そんなことはなくて、カルテが電子化されました...それがブロードバンドで流通する...そこには電子カルテのプラットフォームが必要ですよね?今の日本に一番欠けているのはこの真ん中のプラットフォーム部分が欠如していると...

 

  • 孫氏:「おっしゃるとおりです」
  • 佐々木氏:「要するに共通の基盤で同じ様に電子カルテが標準規格化されるという事が全くない、さっき、孫さんがおっしゃった通りに各ベンダーですね、色々なメーカーが電子カルテのシステムを提供しているんだけど、これがメーカーごとに全然規格が違う規格がバラバラであると、しかもそれを各病院で電子カルテにしたものを病院相互のネットワークに持って行く...つまり、単なる電子カルテではなくてEHRと言われる...Electric Health Recordと言われているようなカルテのネットワーク化という方向に持って行こうとしても、それが実証実験レベルではできるのだけど、それを面的に展開しようとすると、どうしても地元の医師会とかの抵抗が非常に根強くてですね...そこまで進んで行かないという問題の中では、この一番重要なのは...この電子カルテのプラットフォーム部分をどう構築するか?これをどうやって国が主導できるのか?あるいは、どこかの...そもそも日本国内のベンダーがまともな電子カルテのプラットフォームさえ作れないのであれば、いっそこのブロードバンドの時代において、アメリカ...例えばマイクロソフトのHealthVaultとかGoogleGoogle Healthとか電子カルテのプラットフォームを造っているわけですから、それをそもそも持ち込んでも構わないんじゃないかと...使っている側ですね...要するに医師の側ではなくて、患者の側とか我々国民にとっては外資のプラットフォーム、それが利便性が高ければ、使ってもいいじゃないか?そこの規制を撤廃し、そこのプラットフォームを上手く動くようにして行く方が僕は大事じゃないかと思っているんですね...

 
この議論に対するskymouseの感想

  • リテラシー教育は特に必要なく、使いやすくする事が大事だ
    • ここで電子カルテの話から電子教科書の話になるので、ここからは、この議論に対する私の批評に移りたいと思う。まず、佐々木氏が聞いている事は、現状の問題点、医師会や厚生労働省など、強力な抵抗勢力が存在し、そこにはPCを使うリテラシーが低い人が多くてダメだと言う主張、これはiPad以前とiPad以後とでは全然違ってくる話になると思う。2歳児にも使えるiPadの動画を見れば、もはやリテラシーの教育と言うよりも、使いやすい端末を用意すればいいだけなのだ。

 

  • ・コストパフォーマンスが低いから普及しない
    • 佐々木氏の意見に欠けているのは、彼は現象のみを見つめていて、その原因がなんであるかと言う分析がない事だ。つまり、使う側の視点にたった分析が足りない、(ただ、佐々木氏もそれがわかった上で、皆が聞きたい事として敢えて質問しているとは思う)医療機関にとって現状の電子カルテは、規格が乱立しているので医療情報が共有できず、金ばかりかかって業務の効率アップに繋がらない役立たずである。だから普及しない。コストパフォーマンスが低いから、普及しないという、とてもシンプルな問題なのだ。それを孫さんは統一クラウドにして安く作って無償で提供しようと言っているわけだ。これによって、コストパフォーマンスが最大化されれば電子カルテは使われるようになる。ただ、問題は、統一クラウドを作ろうと言うビジョンを持った人間が日本にいない事で結果として、それができていない。そう切り返すと佐々木氏は、であるならば、GoogleMicrosoftなどのクラウドサービスでもいいのではないかという意見だった。(これには孫さんも頷いているように見えた)

 

  • ・「規格村」ではなく、統一クラウドと言う「シティ」を作るべき
    • これを見ていると、携帯電話と同じ問題が電子カルテでも起きていると感じる。要するに「規格村」ができてしまっているのだ。孫さんは、その村をクラウドにして町(都市:シティ)にしようと言っているわけだ。抵抗勢力が強力と言う認識よりも、今までのものが使い勝手の悪いガラクタだったから普及しなかったというのが、この話を聞いた僕の率直な感想。電子カルテなのに共有できない、ソフトとハードに金がかかる。これでは何の意味もない。意味もないものにお金を払ったり使ったりする人はいない。スケールメリットを出す為には規格村を解体し、クラウドベースの「シティ」を作るべきなのだ。孫さんのビジョンは、とても明快で分かりやすかった。

 

  • ・ブロードバンドだけでなく統一クラウドによる統合がスケールメリットを生む
    • そして、佐々木氏の意見は現状で多くの人が疑問に思っている事を代弁していたと思う。それを孫さんは極めて明確なビジョンで答えていた。クラウドにしてコストを安くして使いやすくすればオッケーだと。従来できなかったのは、それを統一しない事でスケールメリットが生じなかったからだと述べている。これは旧自民党政権の政治のリーダーシップが欠如していたからと言って良い。アメリカではオバマ大統領自らが電子カルテを主導してリーダーシップをとっている。日本でも原口総務大臣と孫さんが提示する光の道構想は、そのリーダーシップの先駆けとも言えるべきもので、評価に値する。単にブロードバンドと言うだけでなく、統一クラウドによって現状の規格村の問題の解消まで及んだビジョンは、この国を変えられると信じるに足る説得力のあるものだった。私は民主党政権になって、こういう革新的な事が提示され、また政権ともコミットメントのある主張が聞けるのを心待ちにしていた。それが到来したのは、とても喜ぶべき事である。

 

  • ・過去の自民党政権ではできなかった事ができるようになりつつある
    • 今回、議論された光の道構想が実現されれば、医療情報の共有によって医療費の削減にも繋がるだろうし、医療の質の向上にも繋がるだろう。そういう改革を私は実現するべきだと思うので、私は7月の選挙には民主党に投票したいと思う。光の道構想に賛成する人は、民主党に投票し、この構想を実現させるべきだと思う。もし、自民党になんかに投票したら、また元の木阿弥に戻るだろう。それだけは避けるべきだと私は思う。日本には改革を恐れるテレビ局や大手新聞社が沢山いる。彼らが批判していても、それには耳を傾けるべきではない。もし彼らが優れたアドバイスをしてきたのならば、日本はこんなヘボい国になっていない。彼らの代案のない無意味な主張には耳を塞ぎ、この対談のような意味のある話に耳を傾けるべきだ。