最近、NHKのハーバード白熱教室という番組が面白くてよく見ている。
最新版：毎週日曜日 午後6：00〜7：00 3ch（NHK教育）
再放送：毎週土曜日 25：05〜26：06 BS7ch(NHK衛星第一)
再放送の方は時間が変わるかもしれないので毎週、注意して欲しい
ハーバードにおける哲学の授業をそのまま放送しているのだが、難しい言葉ではなく、極めてクリアな言葉で哲学を論じている。基本的なテーマは「Justice」(正義)だ。正義について、あらゆる論証を用いて説明されるのだが、内容が非常に面白い。
正義なんて所詮奇麗事だと思っている人も結構いると思う。だが、この正義はあらゆる判断において重要な基準となりうる要素だ。的確な判断の基準とも言っていい。なぜならば、正義を正しく想定する事こそ、公平な判断の基準となるからだ。公平さが何故重要なのかと言うと、それが物事の中立的な基準となるからだ。それが、中立であればこそ、良い事と悪い事の区別がつけられるからだ。また、偽善と正義を分離するのにも役立つ。偽善は社会悪の一つであり、偽善的法律や制度が社会に大きなダメージを与えている現実を見ると、正義を正しく定義する事必要な事なのだ。（過去の歴史では禁酒法、現代の日本では児童ポルノ法）
帰結主義的な正義から見て、この児童ポルノ法は悪と言える。なぜなら、この法律の施行によって、性犯罪者が増え、結果として性犯罪被害者を減らすどころか倍増させてしまったのだから。つまり、エロ本を規制するのが秩序なのか、それとも性犯罪を減らす事が秩序なのかという二者択一である。なぜなら、エロ本を規制すれば、性犯罪が増えると言う事が統計的に顕著に現れているのだから、エロ本を規制することは、性犯罪者を増やす事である。であれば、逆に言えば、エロ本を規制しない事は性犯罪を減らす事になる。よって二者択一が求められるのである。簡単に言えば、紙の上の正義が大事か現実の正義が重要かと言う二者択一である。わたし個人は現実を取る。もっと言えば、現実の少女によるポルノでなくて、CGにすれば、より完璧と言える。そうすれば、誰も傷つかない。よって非実在青少年の主張など、論外である。実在しない正義には何の意味もないからだ。実在しない正義の為に、実際の少女が犠牲になる事はあまりにもバカバカしく、かつ非人道的な行為である
世の中に偽善が広まるのは、人々が正義について誤った認識を持っているからである。あるいは、誤った検証方法により、誤った事を実践してしまっている。その過ちを正すのには知識と教養が必要だ。わたしの場合は、過去の自分の体験や歴史から正義を定義していたが、このハーバード白熱教室のサンデル先生の授業は、そういった正義を非常に高いレベルで具体的に説明していてとても素晴らしい。うなずく部分が多く、また新たな発見も多い。そのことから察するにとても質の高い授業であるから、ぜひ録画して何度も見る事をオススメする。こういう授業は高校の頃の歴史の授業以来、久しぶりだ。サンデル先生を見ると、高校の歴史の先生を思い出してしまった。
面白いのは、ハーバードの学生との議論とやり取りで、これもとても面白い。なるほどと思ったり、そう来たか、と思う内容も多く、とても示唆に富んでいる。聞いていて、学生の方に「そうだ。そうだ」と思っても、それを上回るサンデル先生の意見が提示されると「参った」と思ってしまうところも結構あって、漫画のデスノートを読んでいるような緊迫感があった。なぜデスノートかと言うと、知恵（論理）と知恵（論理）のやり取りが生む緊張感みたいなところが似ているからだ。だから、面白いからぜひみるべきだと思う。重ねて言うが、難しい言葉は殆ど使っていないので皆が見て分かる内容であり、しかもレベルが高いと言うのが凄い。動画サイトに2010年5月11日現在第一回から第五回まであるから見てみると面白いと思う。
ハーバード白熱教室 動画 「第01回 殺人に正義はあるか」 [2010/04/26]
ハーバード白熱教室 動画 「第02回 命に値段をつけられるのか[2010/04/27]
ハーバード白熱教室 動画 「第03回 ”富”は誰のもの？ [2010/04/28]
ハーバード白熱教室 動画 「第04回 この土地は誰のもの？」[2010/05/03]
ハーバード白熱教室 動画 「第05回 お金で買えるもの 買えないもの[2010/05/04]
ハーバード白熱授業の動画リンク
http://veohdownload.blog37.fc2.com/blog-category-284.html
埋め込み動画が見れない時は、動画をクリックして動画サイトに直接いくと見れます。
今回の番組の講義録（日本語）がAmazonで売っていた。文章で読みたい人はこちら
