SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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なぜ、液晶テレビをわたしは買わないか?

0.自分はギリギリまで買わない、なぜなら欲しくないから

  • 世の中、地デジと言われている。私はギリギリまで買わない方針だ。なぜなら、欲しいと思えるものが一台もないからである。ここ10年くらいだろうか?日本の家電メーカーのテレビで欲しいと思える製品に会えなくなったのは。ちょうど、アメリカ型経営がもてはやされて収益率の向上を各社が目指し、テレビの大画面化が推し進められていた頃である。出井さんの方針だったとも言えるが、ハッキリ言って的外れだった。テレビは安く売って、その周辺機器で儲けるべきだったのだ。テレビ一台よりも、その周辺市場の利ざやの方が大きいのだ。つまり、日本企業は、製品単体での戦術的収益性を重視するあまり、周辺機器市場やソフト市場も含めた戦略的収益性を無視していたのだ。

 
1.ハイビジョンを充分に記録できない...

  • 私は、基本的に21インチのSONYプロフィールプロ(業務用に近いテレビ)を使っていたから、大画面には興味がなかった。画面が大きくなると映像に緻密さや繊細さが失われると同時に、それだけの大画面に表示するに足るだけの大容量メディアや高解像度規格がなかったからだ。ハイビジョンの時代になっても、圧縮技術が充分でなかったので、ハードディスクに100時間以下しか収録できない状態では使い物にならないと思っていた。

 
2.コピープロテクトが日本独自の使いにくいものになって買う意欲がわかない...

  • ようやく地デジ規格が立ち上がり、Blu-rayに規格が決まって値段もこなれてきたのだが、今度はダビング10B-CASなど使い勝手の悪い規格の登場で購入意欲が著しく減退した。何が問題なのかと言うと、将来的には録画したライブラリを大容量ハードディスクを使ってメディアを交換する事なく、リモコン片手で見られるようにしたいと思っていたが、ダビング10では、ハードディスク間の移動を厳しく制限しており、これが出来ないというのだ。いかにもお役所的な時代遅れな規制である。あまりの時代錯誤さに、こんなルールを決めた文化庁の役人はバカではないのかと思ったほどだ。私が総理大臣だったら、このような時代遅れな日本独自の規格を作った文化庁の職員をクビにしたいところだ。官製不況もいいところである。

 
3.解像度が低い...

  • 液晶テレビは解像度が低い、パソコンモニタとしても使おうと思っているわたしにとって、机の上に置ける最大サイズは24インチまで、解像度は最低フルHDである。このタイプの製品で充分な解像度と輝度が調整できる製品は殆どない。液晶モニタメーカーもテレビをつければ、今年いっぱいまではエコポイントがつくのだから地デジチューナーを内蔵してもいいものなのに、それをしないとは、なんとも口惜しい限りである。

 
4.3Dじゃない...

  • そうこうしている内に3Dの規格が登場し、もはや3Dでなければダメだと思えるようになった。なぜなら、NVIDIAのイベントで立体液晶が使えると言う事が分かったからである。立体である事の意味は、3Dのゲームや写真を見るとハッキリ分かると思う。

 
5.モニタとして使えない...

  • 部屋の中でテレビとモニタの2台が机の上に鎮座しているのだが、これを一台に統合したいのに、そういったニーズにフィットするモニタの特性と、テレビの特性を兼ね備えたものがない。あったとしても、とても高額だ。部品からすれば、もっと安く作れるのに、そういったお客様のバリューを考えた商品を日本メーカーが出してこないのは、ここ10年、一貫している。多分、収益性を考えての事だろう。テレビとモニタで両用でつかえると、その分、需要がバッティングして売り上げが減ると考えているだろうが、それは間違いである。それ以上に需要が拡大するのだ。大事なのは、収益のために企業があるのか?お客様のために企業があるのかと言う視点の違いだ。目先の収益的視点からだと、2台売れるはずのものが1台になるのだから収益が減ると考えるが、実際には、お客様のバリューが上がると、需要は拡大し、テレビが売れるとビデオが売れるし、モニタが売れるとパソコンが付随して売れるようになるのである。日本メーカーの問題点は、収益性についての視野が極端に狭い事だ。単純に2台が1台になるからダメだと思ってしまう。でも、実際は個室にテレビモニタが入れば、ビデオやパソコンが売れる場所が出来ると言う事がわかっていない。一見、損になるようでいて、実は得なのである。これは、熱帯魚屋さんに教わった商法だ。熱帯魚屋さんでは水槽を安く売る。なぜなら、本当の儲けは、そこに入れるであろう熱帯魚や水草なのだ。だから、その入れ物である水槽は安く売って、熱帯魚や水草で儲ける。これと同じ似ようにAppleiPodも同様のビジネスモデルである。iPodという器を安く売る。iTunesで流通を牛耳って、ソフトの販売マージンで儲ける。つまり、一粒で二度おいしい商売をしているわけだ。日本メーカーの問題は、ソフトの流通をコントロールするビジネスモデルを作るのではなく、ソフトの配給会社を買った事だ。今から見れば間違った投資だった。ちょっと話がズレたが、要するにモニタとして使えるテレビを個室に入れる事は、市場を開拓する橋頭堡になるわけで、そこから新しい市場が生まれるのだ。よって、この分野で大画面の高い製品を売るのではなく、安くて(10万円以下で)新しい事が出来るテレビを売るべきなのだ。

 
まとめ
じゃぁどんなテレビが必要なのか?
・モニタとして使えるテレビ:コンピューターの需要を増やす(デジカメ)
・テレビとして使える   :ビデオなどの販売機会を増やす(ビデオ、ビデオカメラ)
・3Dテレビとして使える :3D対応のカメラ、ビデオ、ソフトの市場が広がる
 
新しい需要の入れ物として、そういった機能のついたテレビを10万円以下で売る事が正しい戦略なのだ。そうすることで、ビデオ、コンピューター、ゲーム機、カメラ、対応ソフトなど、あらゆるものが売れる。こういう当たり前の事が、ここ10年の間、判断できなくなった日本メーカーは「バカじゃないのか」とわたしは正直思うのだ。アメリカ型経営の収益至上主義は、日本メーカーを、白痴にしたと思う。お客様のニーズを直視せず、四半期ごとの収益(数字)ばかり追いかけているから、不況なのだ。
 
モニタが売れればパソコンが売れる。パソコンが売れれば、デジカメやプリンターが売れる。テレビが売れれば、ビデオやビデオカメラが売れる。テレビモニタを売る事は、この両方の需要を個室に持ってくる事に繋がる。こういう芋づる式な発想が戦略的発想だと思うのだが...なぜか、そういう事がアメリカ型経営になって出来なくなってしまった。アメリカ型経営をやる前は、そういう事が出来ていたのに...出来なくなったのはなぜだろう。日本人の気質とアメリカ型経営は相性が悪いように思う。日本人の生真面目な気質と数字でかっちりと決まったアメリカ型経営が融合すると、極端に視野の狭い融通の効かないバカになるようだ。
 
個々の単体製品に注力するのではなくて、「ネットワーク型の需要」に注力すべきだ。そのためには、B-CASダビング10は邪魔だし、ゲートウェイとなる液晶テレビはモニタの機能も兼ね備え、そして、3Dであり、周辺機器市場を生み出すスケールメリットを引き出すために安価(10万円以下)でなければいけない。思えば、テレビ市場において、需要ネックに事欠かない状況が10年以上続いている。最初は技術的な問題、次は官製不況、次は3D規格品が高価。安く作れるのに高く売ろうとしているのは、周辺市場の事を考えるとバカ。
 
「業績のための価格の高いテレビではなく、お客様にとって価値の高いテレビを売れ!」
「高くてデカイテレビよりも、新しい事が出来るテレビを売れ!」