SKY NOTE

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コンクリートはジオポリマー(超コンクリート)へ

Wiredで驚くべき記事を見た。その名も「超コンクリート」(ジオポリマー)何が凄いのかというと、従来よりも耐久性が高いのに製造時の二酸化炭素排出量が、ほぼゼロに近くなるという事だ。
 

 
1.日本の温室効果ガスを3〜3.5%削減できる可能性があるジオポリマー

  • 通常、コンクリートを作るセメント材を作るのに、石灰やその他の材料を高熱で加熱し、粉末にしたものを使っているが、この工程で大量の二酸化炭素が発生する。まず加熱する為に石炭を燃やすので、そこで二酸化炭素が発生し、さらに石灰を加熱する事でも二酸化炭素が発生する。しかし、ジオポリマーの場合、石灰と、そこら辺の土(ケイ素)を水で混ぜたものを使う。つまり、製造工程に熱が必要なく、石灰も加熱しないので二酸化炭素が全然でないのだ。日本の場合、石灰を加熱した際に発生した3200万トン(2004年)とセメントとガラスを作る為に使った石炭2600万トン(2004年)のセメント分がいらなくなる。ちなみに日本の温室効果ガスは13.5億トンなので、全体3〜3.5%分(4000〜4800万トン程度)がジオポリマーに移行する事で削減が可能となる。

 

  • 日本の二酸化炭素排出量とセメント製造(石灰+セメント・窯業の石炭)にかかわる二酸化炭素排出量(クリックして拡大するとグラフの右上の方に石灰とある)

 

 

 
2.従来のコンクリートに比べて耐久性が高いジオポリマー

  • これが驚くべき性能というのは、もしかしたら、あのピラミッドの石がジオポリマーで出来ていたかもしれないという事だ。もし、そうならば4500年間(ギザのピラミッドが紀元前2550年に建造された)砂漠地帯という昼と夜の温度差が大きい過酷な環境でさほど劣化せずに性能を保っていた事になる。通常のコンクリートは30年くらいで劣化し、ヒビが割れたりするが、ピラミッドは、そういう事がない。つまり、もしピラミッドの石がジオポリマーで出来ていたら従来よりも遥かに耐久性の高いコンクリートといえるのだ。しかも製造時に発生する二酸化炭素はゼロ(石炭燃焼と石灰加熱による二酸化炭素がゼロ)だ。これは凄い。

 

 
3.製造時のコストも安く抑えられる可能性がある

  • ジオポリマーは、その製造工程から推察するに、製造工程に加熱を必要としない為、その分だけ安くできるはずだ。つまり、今までよりも、安くて性能がよくて(耐久性が高い)、しかも二酸化炭素を出さないセメント材であるという事だ。既存のセメントは競争力を失うだろう。しかも、材料は国内で自給できる。ケイ素(そこら辺の土の成分)と石灰(日本では珍しく自給できる資源)であるという事もポイントだ。

 
4.性能はアメリカ空軍も認めている

  • アメリカ空軍もジオポリマーに注目しており、滑走路のコンクリートに適していると評価し、研究開発予算を投じている。

 

  • WIREDの記事からの引用:冒頭の「超コンクリートの記事から」
    • 現代においては、ジオポリマーの導入に早くから熱心な組織の1つが米空軍だ(イランのテヘラン大学などもジオポリマーの研究を行なっているが)。たとえば、ピラメントと呼ばれるジオポリマー・ベースのセメントは、滑走路の建設と修理をすばやく行なうのに適している。ピラメントで滑走路を造ると、わずか数時間で最重量の飛行機が使えるようになる。通常のコンクリートが数日かかって獲得できる強度を数時間で得られるのだ。

 

  • アメリカ軍が注目している事からも分かる通り、ジオポリマーの性能は高い。滑走路という荷重の大きい施設に使う事が検討されている事から性能の水準は高いのだろう。価格、性能、必要な資源や技術など、総合的に見て、ジオポリマーは温室効果ガス削減に貢献するだろう。

 
5.ジオポリマーに早期に移行するべきだ

  • 温室効果ガスの削減が急務となっている以上、削減できる有効な技術はどんどん使うべきだと思う。ジオポリマーは作り方さえ分かれば、既存の設備で作る事が出来ると考えられる。何せ土(ケイ素)と石灰を混ぜるだけだから、国はジオポリマーの研究開発に予算を投じると同時に早期の実用化を目指す為、産業界に支援や働きかけをするべきだ。