勝利とは何かと考えてみた。
1.勝利と何か?
- 勝利とは何かと考えてみると、相手の勝利条件を把握し、それを成立させず、自分の勝利条件を成立させる事である。コミックのDEATH NOTEを読んでいてそう思った。ライトはLの勝利条件(殺人方法の証拠)を把握し、それを成立させないようにし、Lはライトの勝利条件である名前を明かさずにライトを直接、監視して自らの勝利条件であるキラの殺人方法を見つけようとする。
2.勝利条件
- お互いの勝利条件を理解し、それを互いに妨害しながら、自らの勝利条件を成立させる。DEATH NOTEはそういうゲーム的な要素がおもしろかった。命がかかったゲームなのだけど、それがスリリングだったのだ。
3.日本の勝利条件
- さて、日本の勝利条件とは何であろうか?そして、世界にとっての勝利条件とは何であろうか?そして、その為に何をするべきなのだろうか?と考えてみた。まず、日本の勝利条件とは、高齢化社会になっても国民が豊かで安定した暮らしをし、自由を謳歌している事、そして、世界の勝利条件とは、地球環境が保全され、全人類が戦争のない豊かで安定した暮らしをし、多様な文化を育みながら進歩発展して行く事ではないだろうか?
4.日本の敗北条件と世界の敗北条件
- そして、敗北条件について考えてみた。日本の敗北は、高齢化社会になって産業競争力の落ちた日本は国際競争に敗北し、外貨が得られなくなった上に、温暖化によって食料生産が安定しなくなり穀物価格が高騰したため、食料不足にみまわれ、その上、資源価格も高騰し、あらゆる物資の価格が高騰した為、国民生活は困窮する。世界の敗北条件は、食料や資源の奪い合いで戦争が起き、難民や飢餓、病気で多くの人命が失われる。互いに互いを奪い合い、互いに疲弊して行く。
5.日本と世界の勝利条件
- つまり、日本、及び世界の勝利条件とは、
- 1.安定した食料確保の為に温暖化を食い止め
- エコロジーの推進/食料自給率向上
- 2.資源やエネルギーの恩恵を皆が享受できる様に省資源、省エネをし
- 省エネ:ペアガラス、電気自動車、電子都市
- 省資源:ハイテン鋼材、電子都市
- 3.地下資源に頼らない持続可能なエネルギーや資源を確保すること
- エネルギー:バイオディーゼル/バイオガス、水素、地熱、風力、太陽
- 素材 :バイオポリマー、BNF、電気炉製鉄(自然エネルギー)
6.日本及び世界の敵の勝利条件
- そして、妨害すべき敵の勝利条件は
- 1.食料不足による人類の自滅を促す
- 2.資源不足によって分配不均衡が生じ、貧富の差が人類を不幸にする。
- 3.エネルギー不足がその奪い合いとなり、戦争を起こさせ、相互に争わせ滅ぼす。
- 飢餓、貧困、戦争
- これらを組み合わせ、敵は人類を滅ぼしにかかる。
6.敵の実体
- 敵の実体は、人類そのもの、自らの膨張によって生じる様々な弊害なのだ。それに何も対処しなかった場合、敵の力は最大化され、結果としてそれが自らを滅ぼす。つまり、惰性を続ける事、それ自体が人類の最大の敵なのだ。人類自らの惰性、それが日本の敵であり、世界の敵なのだ。
7.敵が共通している世界と日本
- 日本と世界の敵が共通している事が結果として、私たち日本人が世界をリードできる理由なのだ。つまり、自分の問題解決が世界(他者)の問題解決に繋がる。しかも、どこの国よりも早くそれに対処しなければいけない。小さな国で資源がなくて、人以外に何も持っていない。しかも、その人的資源は高齢化によって劣化しつつある。それなのに国際競争の荒波に翻弄されつつも、そこから這い上がって生き残らなければいけない過酷な運命を持った国、それが日本なのだ。
8.日本の過酷な運命
- しかし、同時にそこから這い上がる為に必要な方法も既に分かっているし、それが出来るだけのノウハウも技術も保有している国なのだ。食料自給率の改善、資源自給率の改善、エネルギー自給率の改善、全て可能だ。それを不可能だと言って惰性を続ければ、日本は他の国に先んじて滅ぶ運命にある。他に何もないからね。食料も自給で来ない、資源も自給できない、エネルギーも自給できない、さらに人も高齢化で老いていく、なにもかも失うこの国が世界で最も早くダメージを受ける。
9.日本が勝利する為に必要な経済、貿易立国から環境立国へ
- 高齢化を前提とすると、外貨を前提とした経済モデルは採用しにくい。なぜなら労働力の劣化は避けられないから、世界の若者と自国の老人を同じ土俵で戦わせるのは酷である。だから、別の土俵を用意する。それはつまり、自国でエネルギー、資源、食料を自給するという事だ。それは既にブラジルが実践している事だ。ブラジルはバイオエタノールでエネルギーを自給しているし、食料も自給できている。それ故に今回の金融危機でも影響が軽微にとどまっている。日本も同じ様に物資の自給を可能とする技術が確立できれば、世界がどのように展開していても、高齢化で労働力が劣化しても、大丈夫な国になれるだろう。つまり、独立している事が周囲の影響を最小限にとどめる事に繋がる。これは現在の日本の状況とは正反対だが、それをしなければ、将来、日本は極めて厳しい状況に陥る事は明らかだ。そういう意味で日本は、貿易立国から環境立国に脱皮しなければいけない。貿易立国によるグローバル経済を前提とし、継続する事は、日本の惰性であり、それは日本の破滅を意味する。日本は自分が生き残る土俵を独自に用意しなければいけない。外貨頼みの経済は、従来のやり方の惰性であり、高齢化が進行すれば破滅する経済なのだ。その為には、これから20年以内に(高齢化が進行する前に)日本は内需主導の環境立国にならなければいけないのだ。
10.日本の勝利シナリオ
- 日本にとって最高のシナリオは、世界中の工場で日本メーカーが作った省エネ、省資源製品が売れて、エネルギーや資源、食料を自給できているので、貿易黒字が生じる。同時に世界で最も早く二酸化炭素の削減も実現している為、排出権も入る様になり、国内経済は安定する。温室効果ガスの大幅削減による気候の安定化と、自国の食料自給率の改善により、食料安全保障を確立した国となっており、豊かで安定した国となっている。最新技術(将来技術も含む)と統計データを分析した結果、それらが可能であると試算できた。
11.日本の未来
- 自然からエネルギーや資源、食料を確保し、少ない資源やエネルギーで社会を成り立たせる技術を確立し、そして、それを是とする経済。それが日本の勝利条件だ。敗北条件は、従来の惰性を続けること。つまり、外国の資源、エネルギー、食料に依存し、現状の外貨頼みの経済を続けること。つまり、三流の経済学者が言っているグローバル経済がそれにあたる。日本は世界にあわせるのではなく、むしろ、率先する事が必要なのだ。なぜなら、どこよりも早く問題にぶちあたる国なのだから。高齢化と資源高騰のダブルパンチをもろに受ける国、日本、しかし、その危機を乗り越えた先に日本の未来がある。先行特権をいち早く獲得し、高齢化社会に備える事が今の日本に必要な事であり、それが日本の未来を形作る事になる。(ピンチはチャンスなのだ)
12.勝利した時、得られるもの、敗北した時、失うもの
- 世界の問題にいち早く対処した日本は、貿易黒字という形で世界から称賛を受けるだろう。逆に対処できなかった場合は、莫大な貿易赤字で困窮する事だろう。その分岐点に今、日本は立っている。今回の経済危機で世界は変わった。正しい方向に世界は向かっている。そして、その方向とは日本が生き残る方向でもあるのだ。だから、日本は世界にあわせる必要はない。なぜなら、日本の向かう方向が世界の向かう方向なのだから。日本は、そのトップを走るべきである。トップとは威張る事ではない、問題に率先して対処する事を言うのだ。どこよりも早く、世界(日本)の問題に対処する事、それが日本の勝利条件である。そういう意味で鳩山総理の温室効果ガス25%削減の宣言は、素晴らしかった。これこそ、日本が向かうべき道であり、世界の向かうべき道である。その道の先に日本の未来がある。
日本の勝利条件
1.環境立国による資源、エネルギー、食料の自給による独立性(生き残り対策)
2.内需主導経済によるグローバル経済の影響を受けない経済体制(高齢化対策)
3.世界最先端の技術を保有し、その先行特権による利益の確保(豊かさの確保)
参考資料
日本の食料自給率を上げる方法
http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20080502/1209668218
日本のエネルギー自給率100%は不可能なのか?
http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20090817/1250441791