SKY NOTE

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戦略を正当化できない戦術的発想

日本は、長期的で包括的な戦略が立てられないというが、実際には、そういうものがあっても評価できないのである。それは、戦略を戦術的発想で解釈するからである。

1.戦略において重要なのは、細かいデータよりも、その方向性である  
戦術において重要なのは、実際のデータである。しかし、長期戦略においては、実際のデータは、未来において変化するものなので、大まかなレベルであたっていればよく、むしろ方向性が正しいかどうかが重要である。まず、この実測データの欠乏を否定する事で、戦術家は戦略を否定してしまう。
 
2.戦略において重要なのは、個別の解決策よりもトータルな視点での目的達成である。
戦術において重要なのは、個々のノルマを確実にこなす事である。しかし、戦略においては、全体として結果が出ればそれでいいのだ。戦術家は、個々の要素が脆弱であるという理由で否定するが、戦略家は、その弱いものであっても、他のものと組み合わせて相乗効果を引き出す事で、全体としては目的を達成できると見積もる。つまり、戦術家は木を見て森を見ない発想から戦略を否定する。
 
戦術家の発想;原子力しかない(個として最もパワフルなものを選ぶ)
       (個のパワーによって結果を出す)
戦略家の発想:省エネ技術、バッテリー技術、電子都市、自然エネルギー
       (全体の相乗効果で結果を出す)
 
組み合わせの妙を引き出すの戦略家だが、戦術家とは、三国志で言えば張飛に相当する。力が強くて頼れる奴だが、賢くはない。劉備軍の中で軍事的に重要な存在は、張飛よりも戦略家である孔明の方である。なぜなら、張飛は、コマであって、指し手ではないから、指し手の存在あってこそ、コマが生きるのである。日本では、この指し手よりも、コマの方が偉い。なぜなら、指し手の技量を推し量る人間がいないから。要するに張飛集団なのが日本。でも、日本よりも張飛の方が偉い。なぜなら、張飛孔明が賢いと見るや、忠実な部下となって働いた。つまり、張飛は自分が馬鹿であると自覚している分、賢い。これに対して、日本の戦術家(官僚)は、個々の技量(あるいは個別の利権)にこだわって、戦略(全体)を否定する事で、全体のパフォーマンスを引きだせない。
 
例えば、原子力という個の要素に頼り切ってしまうと、それがウランが枯渇するとか、高速増殖炉が間に合わないとか、そういう事態が起きた時に、何のバックアッププランも持たない事になり、ある意味、それがダメになったら終わり。つまり、個に頼り過ぎる事は、リスクが大きいのである。でも、戦術家の発想としてみれば、それ以外の選択肢がないのである。他のものと組み合わせるという姿勢が彼らにはなかなか理解できない。つまり、戦術とは個人技の世界である。それに対して戦略はチームワークである。個人技が生きるのもチームワークがあってこそである。つまり、戦略を母体にした戦術が重要なのに、日本は、これが逆転していて、戦術を母体(主たる発想)にしているので、戦略が生きないのである。
 
よって、戦略を正しく評価する為には、細かいデータよりも全体の方向性を評価し、さらに、個々の要素よりも全体として結果が出せるかという事に気を配るべきである。そういう評価基準があれば、戦略が評価され、その結果、実行に移される。しかし、これを方向性の正しさよりも細かいデータに微にいり細にいりこだわって否定したり、個別の問題をあれこれと言い出したら、戦略は否定され、戦術的なプランを採用する事になる。そして、それは伸びしろの低い選択をしている為に、最終的には敗北する。張飛集団は実は頼もしい存在だが、それは張飛の様に謙虚で、孔明の様な戦略家の言う事を聞けばの話。
 
単に、謙虚でない張飛集団ならば、別に怖くも何ともない。ただの野党の集まり。日本の縦割り行政とは、その野党の集まりに過ぎず、全体としてみれば非常に弱い。政治家が戦略部門を統括するべきだが、官僚(戦術部門)に支配されている自民党政治では、非常に頼りないというか、戦略的には全く存在していないと言った方がいいだろう。日本には国家戦略を策定するCIAの様な組織もないしね。
 
何よりもこの国では、コマ(戦術)の方が指し手(戦略)よりも偉いと評価されがちなので、戦略家がいても、世に出ないだろう。飛車角が重要視されて、羽生名人の様な指し手が無視されるようでは、どうしようもないと言った所。
 
1.細かい所よりも、方向性(つまり、長期戦略では 現実よりも理想が重要)

  • 細かい事なんて時間があればどうにでもなるから-長期戦略では重要ではない。
  • 戦術的には現実が重要だが長期戦略においては方向性、つまり理想が重要となる

2.個よりも全体

  • 個の力など全体に比べれば、大した事ない。

この二つの視点を大事にして戦略を「正しく」評価して欲しい。
 
つまり、戦略を戦術で解釈する日本のインテリジェンスは「張飛以下」である。