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同調とチームプレーの違い

同調とチームプレーの違い
同調には、寄せ集まるだけで目的がない、チームプレーには勝つという目的がある。そこが決定的に違う。目的があるから向上するのだ。

同調するための手段として「妥協」が行われる
安易な妥協がまずいのは、ベストなポイントを分かっているのに、それを皆で共有しないで内にこもることだ。「どうせ、あいつら理解しないだろう」と言って黙る。これがよくない。しかし、かといって、ベストを声高に「吐き出し」、周りの自尊心を傷つけて連携が出来なくなるようであってはならない。

ベストを「吐き出す」のではなく、ベストを「言う」必要がある
サッカーで大事なのは、パスである。ベストなパスとは、ベストなポイントに仲間がいて、その仲間にベストなパスが出せてこそ成立するのである。シュートをするプレイヤーに注目が集まりがちだが、最善のパスがあってこそ、最善のシュートが出来る事を考えれば、それが最も重要なプレイだということが分かる。

このことを頭にいれて、2006年ワールドカップの日本チームの中田を見て見よう。彼は恐らく最善のポイントが分かっていた筈だ。だが、チームは彼の思うとおりに動いてくれなかったようだ。彼は最善が分かっているからこそ、チームプレーを追及しなければいけなかった。後半ブラジルに一点リードされたとき、彼がチームの真ん中でしなければいけなかった事は、チームメイトを罵倒することではなく、指を高く挙げて、「あと一点」と言って疲労困憊しているチームを元気づけ、ベストなプレイが出来る状況にチームを誘導することだった。ベストをただ「吐き出す」のではなく、その前に皆を鼓舞して、ベストな状況にすることが必要だったのだ。

元気づけられて勇気が出たところで、適切な指示を繰り出せば、そこでチームの力が最大化され、ベストなプレーが出来るようになる。中田に足りなかったのはチームプレイに対する理解だった。有能な人間が陥りやすいミスだった。中田は、なまじ「ベスト」が分かっているからこそ、それを安易に追及してしまっていた。しかし、本当に勝ちたいのならば、必ず他者との連携を考えて行動しなければいけない。それは安易な妥協とは次元が違う高度な連携である。ある種の戦略性と言ってもいい。ただ、寄せ集まるだけが目的の仲良しクラブ的な妥協とは次元が違うのである。勝つために、必要なチームプレーと安易な妥協を混同してはいけない、向上心も目的もない(あるいは目的が曖昧な)妥協と、目的があるがゆえに、チームをまとめて向上しようとする(ベストを追及する)チームプレーとは本質的に違う。なぜなら、前者は堕落(腐敗/敗北)し、後者は向上(勝利)するのだから。

中田には目的もあり向上心もあったが、それをチームプレーの中でやるという姿勢が足りなかった。それは安易な妥協ではなく、チームワークという高度な技術であった。この技術が中田に足りなかったものだ。よく、こういう技術をコミュニケーション能力といって安易に片付けてしまう人がいるが、そういう判断は危険である。コミュニケーションは極めて広範なものであり、その言葉を使っただけで目的が曖昧になってしまう。私がここで言いたいのは「勝つための技術」であって、単なるコミュニケーションではない。

勝利という目的があって、そのための技術としてのチームワークが必要だということだ。目的のない同調、多数決という権力を、ただ無目的に運用する「同調」ではなく、目的が明確にあって、そのために連携する「チームワーク」の事を言いたいのだ。どうもこれらの事が混同されてしまう傾向があるらしく、チームワークの名の元に安易な妥協が行われているのを見ると情けなくてしょうがない。

目的意識のない仲良しクラブはいらない、負けるから。だが、単にベストを吐き出すだけでも駄目、チームが破綻するから、目的を持ち、それを共有し、皆をまとめて、ベストを尽くすこと、それがチームワーク。

成果主義(個人プレー)よりもチームワーク
今の日本は成果主義と言って、中田みたいな人間を安易に優遇する姿勢があるようだが、それは駄目。本当の強さは、安易な優者優遇ではなく、チームワークを追及する事にある。シュートが上手な奴がいても、そいつに最善のパスが出せなければ勝てないのだから。最善のシュートは最善のパスによって成り立つものである以上、安易な成果主義はむしろ、チームが破綻して弱くなるし、安易な妥協は、仲良しクラブになって(組織が腐敗して)弱くなる。そうならないためには、共通の目的を持ち、それに向かって皆が全力を尽くすチームワークこそ大事なのだ。(そういう意味で、オシム監督を支持していたのだが、病気で退場せざる終えなくなった事がとても残念だ。チームワークの手本の様な人だったので、とても残念)

この文章は具体的な事は何も書いていない。ただ、状況の観察から最も正しい方向と思われる点について書いているだけだ。成果でもない、同調でもない、チームワークこそ最善の方向性であると言っている。同調や妥協は、偽物のチームワークであり本物のチームワークとは違うので、それを否定した。

どんなに優れた弾があっても当たらなければ意味がないので、方向性は大事。そういう考え方でこの文章を書いた。パスを確実に繋いでいく連係プレーが出来なければゴール前にボールを用意する事すら出来ないのだから、全体を見据える大局観がチーム一人一人に必要なのだ。大局観(広い視野)と正しい方向性を持ち、それを貫く事が出来れば(安易に妥協しなければ)、強くなる。