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NIMS、ペロブスカイト太陽電池の安定性が6倍向上

物質・材料研究機構(NIMS)は、ペロブスカイト太陽電池のホール輸送層に用いる新規添加剤を開発し、光照射下での安定性を6倍以上向上させた。

 

 ペロブスカイト太陽電池の安定性が6倍向上、NIMS
 http://eetimes.jp/ee/articles/1610/11/news027.html

 

従来がどのくらいだったかというと…

 

今回の研究成果

 光照射時

  25時間弱 → 150時間以上(15%劣化)

 暗所

  200時間(3割劣化) → 1000時間(性能の低下は生じず)

 

大ざっぱに言うと、耐用年数20年を達成する為には、昼間の時間、夜の時間は以下の通りである。

 

 12時間×365日×20年=87600時間(昼と夜ともに)

 

光がある状態の劣化が激しい為、昼間の時間の劣化をみると、必要な87600時間の内、150時間(1/584)しか達成していない事になるが、この研究成果で重要なのは、従来、謎だったペロブスカイト太陽電池の劣化プロセスがわかった事である。

 

【引用】

ペロブスカイト太陽電池において、ホール輸送層の導電性を増加させるためには、ピリジン系の添加剤ターシャリーブチルピリジン(TBP)が用いられている(図1b)。同研究グループは、従来使用されているTBPは安定でなく、ペロブスカイト層と化学反応が生じることを突き止めた。

図1b

 

図1a:順セル構造ペロブスカイト太陽電池の模式図/図1b:ピリジン誘導体の分子構造(左)と青色で示すアルキル基のついた新規ピリジン誘導体の分子構造(右) (クリックで拡大) 出典:NIMS

TBP溶液をペロブスカイト層に塗ると、ペロブスカイト膜が黄色くなる。X線回折により、黄色い物質は、ペロブスカイト結晶が分解してPbI2-(TBP)xという錯体が形成されたことによるもので、ペロブスカイト太陽電池の性能が低下する原因になっていた。(図2)。また、赤外フーリエ分光(FT-IR)による計測で、反応は主にピリジン環にある窒素原子(N)と、ペロブスカイト結晶の間で生じることも分かったとする。

図2

今回は、2つの反応原子が空間的に近づく事を防ぐ事で耐久性を向上させたという。劣化プロセスがわかった事で、ペロブスカイト太陽電池の耐久性は、今後、飛躍的に向上する事が期待される。現在は必要な耐久性の約1/600程度だが、恐らく、それも劣化メカニズムがわかった事で、解決されていくだろう。

 

この研究成果を見て思ったのは、ペロブスカイト太陽電池の劣化というのは、ホール層に使っている物質が化学反応を起こして劣化すると言うもので、反応を抑制する加工プロセスなり、物質が見つかれば、一気に耐久性が向上する様に思える。今回の研究は、何をどうすればいいのか分かったと言う点で大きな成果と言えるのではないかと思う。恐らく、これが実用化に必要な最後のピースとなる。そうなれば、火力発電並のコスト(7円/kwh)で太陽光発電が出来る様になるだろう。そして、それは恐らく、現在の石油を中心としたエネルギーモデルを根底から覆す事になり、世界を変えるだろう。それはドルを中心とする世界経済すらも変えてしまうだろう。それが、もう間近に迫っていると思う。