今回(2016年)の参院の選挙結果を見て、極めて危険な決定が下されてしまったと感じた。東京都における調査において、自民党改憲案について知らない人が80%もいたというから、いかにこの国の独裁にマスメディアが加担しているか分かろうと言うもの。
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政治の腐敗とは政治家が賄賂をとることじゃない。それは政治家個人の腐敗であるにすぎない。政治家が賄賂をとってもそれを批判できない状態を政治の腐敗というんだ。
政治腐敗がマスコミを黙らせ、そして、私達は選挙で独裁にYESと言ってしまった。つまり、従来の腐敗と言うのは政治家個人の腐敗のレベルでしかなかったが、安倍政権になって如実に現れてきたのは、政治そのものの腐敗である。そのことによって多くの人々は、危険な改憲法案を掲げる自公政権の実態を知らずに、投票箱に自らの権利委譲書にYESと書いて入れてしまったのだ。厳密には、改憲には国民投票が必要である。その条件は衆参両院で2/3以上の賛同を得る事とある。衆議院317議席以上、参議院162議席以上
≪選挙速報≫ NHK 2016 参院選(参議院議員選挙 開票結果)
既に自公政権は衆議院(475議席)で2/3(317議席)以上の326議席を保有している。
改憲政党
おおさか維新:14議席
合計 :340議席 / 317票以上:国民投票発議に必要な賛成票
改憲政党
おおさか維新:12議席
日本のこころ:3議席
無所属 :4議席(松沢成文(神奈川選挙区)、井上義行(比例代表)、渡辺美知太郎(比例代表)と日本を元気にする会のアントニオ猪木)
合計 :165議席 / 162票以上:国民投票発議に必要な賛成票
今回の参院選で自公維の改憲政党は161議席を獲得したが162議席には一議席足りない。無所属議員にも改憲派はいるが、自民党改憲案には総じて反対であるという。しかしながら、衆参両院ともに国民投票を発議できる圧倒的多数に1議席だけ足せば達するので予断を許さない状況だ。無所属議員、松沢成文(神奈川選挙区)、井上義行(比例代表)、渡辺美知太郎(比例代表)と日本を元気にする会のアントニオ猪木の4人の無所属議員が安倍政権の改憲に賛成との事で、4票ふえて165議席となり、改憲の国民投票が可能となった。
参院選「74議席」で改憲3分の2ラインに 猪木氏らが“賛成” | 日刊ゲンダイDIGITAL
今回の選挙で恐ろしいのは、国民にとって重要な情報である自民党の改憲内容についての報道が一切なかった事。それによって8割もの人が、その恐ろしい内容を知る事なく投票してしまった。もし、参議院で1議席を自公政権が獲得して、国民投票になったとしても、恐らくは自民党改憲草案は報道されないか、その伝え方にかなり手が加えられて、危険なものが危険ではなく、まるで、それが必要であるかのような報道がされるだろう。
自民党憲法草案の条文解説 http://satlaws.web.fc2.com
自民党改憲案21条を抜粋して解説すると、「公益及び公の秩序を害する事を目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をする事は認められない」というのは、一見、まともな憲法案に見える。でも、それは、大きな間違い。この文言は、日本の民主主義を破滅させた戦前・戦中の治安維持法とよく似ているのです。問題部分は「公」という言葉です。法律用語として公と言う言葉は、非常に曖昧で抽象的なので、解釈に幅があります。例えば、国家の方針を「公益」として定めたとしたら、それに反するものの結社は認められないとあるのですから、国家の方針という「公益」に逆らうメディア企業の存在を、この憲法では否定できる事になります。「公」という言葉が曖昧なので、時の政府の恣意的な解釈を許す事になるわけです。つまり、公を自由に解釈すると、この改憲案の恐ろしさがよくわかります。つまり、国は公と言う名目さえ立てば、自由に言論を規制できると書いてあるのです。であるので、事実上、表現の自由を否定した改憲案と言えます。こういう国民の権利を制限する内容がいくつもあるのが、この改憲案の特徴です。民主主義は、言論の自由がなくなると機能しなくなります。言論は、ただ喋る事を意味しません。それは、国民の意思を示す機会であり、それがなくなるということは、国家が国民の意思を無視して行動できると言う事なのです。つまり、それは独裁を意味します。独裁と言えば、ヒトラーですが、まさに、安倍政権こそ、それなのです。私達は、そんな政権に2/3近くもの票を昨日与えてしまったのです。というわけで、2016年7月10日、国民は重大な失敗をしてしまったと伝えておきます。恐らく、多くの新聞では、日本国民が大失敗をしたとは、書かないでしょう。(この改憲案を報道しない段階で、それが出来よう筈もありません)しかし、歴史的に見れば、民主主義の敗北であり、民主主義を否定する政党に投票したとして記録されるでしょう。